インドに“ソフト移行工場”を立ち上げる富士通の狙い

独SAP最新版移行でインドのITパワー活用

 富士通は、インドに独SAPのシステムの構築・改修ノウハウを集積した“ソフトウエアのマイグレーション(移行)工場”を立ち上げる。SAPの統合業務パッケージ(ERP)の最新版「S4/HANA」への移行に合わせ、日系企業の現地サポートに加え、海外企業の新規案件獲得を加速する。SAP関連事業の売上高は、2020年度に現状比約2倍の900億―1000億円を目指す。

 SAP関連事業の海外展開では、主に製造業を対象とする。米アマゾンや米マイクロソフトのクラウドサービスの活用も含め、システム刷新・移行から運用・保守までワンストップで請け負う体制をグローバルで全面展開する。その推進力として、インドのITパワーを活用する。

 インドは世界8カ国にある富士通のITサービス拠点「グローバル・デリバリー・センター(GDC)」の中で最も大きく、米国をはじめ英語圏向けオフショア(海外委託)開発で実績を持つ。富士通グループが抱えるSAPコンサルタント2800人のうち、半分近くはインドの人材が占めているという。

 今回の強化策により、SAPコンサルの海外要員は20年度までに現状比約1・8倍の5000人に増やす。増員はインドが中心となる。

 SAPのERP製品は、従来版が2025年にサポート切れとなることから、IT業界全体としてもS4/HANAへの移行が焦点となっている。加えて、老朽化した手作りのシステムや大型汎用機の刷新でもS4/HANAへの乗り換え需要が見込まれる。

 一方でSAP案件の増加に伴い、SAP製品のスキルを持つ人材の不足がIT業界全体の懸案事項となっている。

 富士通は、国内ではSAP事業の中核部隊250人に加え、業種ノウハウを持つシステムエンジニア(SE)をSAPビジネスに年100―150人程度移すなど、社内育成でまかなう考え。海外は育成では間に合わず「外部採用やM&A(合併・買収)も検討していく」(東純一執行役員常務)としている。

日刊工業新聞2019年7月4日(ICT)

  

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