アパレルたちがこぞって開発、「環境に配慮した服」の仕組み

マイクロプラ問題に着目

 アパレルや繊維メーカーが「環境に配慮した服」の開発を促進している。生産における環境負荷や洗濯時に発生するマイクロプラスチックの問題に着目し、素材開発などに工夫を凝らす。デザインや動きやすさなどの機能とともに訴求する考えだ。(文=江上佑美子)

温かさ探る


 帝人フロンティア(大阪市北区)はリサイクル原料由来のポリエステルを用いた素材「アスティ」を、2020年秋冬シーズンから展開する。長繊維を用いており、繊維の抜け落ちが発生しにくい。スポーツ用途を皮切りにファッションやユニホームなどの分野での展開を目指す。

 洗濯時の排水から流れるマイクロプラスチックはフリースなどの毛が多い。担当者は「起毛しない素材で、いかに温かさを実現するかを探る」と語る。

 ゴールドウインはスパイバー(山形県鶴岡市)と共同開発した、微生物由来のタンパク質素材と綿で作ったTシャツを8月に発売する。現在、スポーツアパレルの多くはポリエステルなど石油由来だ。ゴールドウインの渡辺貴生副社長は「少ない物質やエネルギーで、最大の効果を発揮する技術の開発を目指す」と話す。11月にはパーカーも発売予定だ。

 三菱ケミカルはトリアセテート長繊維「ソアロン」を展開。アパレル大手に採用されている。繊維など高機能成形材料部門のトップである岡田幹士常務執行役員は「植物由来でしわになりにくい。もっとプロモーションしていく」と意気込む。

 東レはスポーツやスイムウエア向けに、環境負荷が少ない撥水剤を使ったテキスタイル「ナノスリットナイロン」を4月に発表した。一般的な撥水剤はフッ素系で分解されにくいパーフルオロオクタン酸(PFOA)が含まれている。

撥水性高める


 一方でPFOA不使用の撥水剤は性能や耐久性の面で、スポーツなど向けの商品では使いづらかった。ナノスリットナイロンでは複合紡糸技術で微細な凹凸を表面に形成し、撥水性能を高めた。

 課題は消費者の意識だ。帝人フロンティアは環境配慮製品の開発や販売を進めているが、海外と比べ「国内はそれほどの意識になっていないのが正直なところ」(担当者)と見る。

量産化に意欲


 ゴールドウインとスパイバーが発売するTシャツは消費税抜き2万5000円で、一般の消費者が手を出しやすいとはいえない。スパイバーの関山和秀取締役兼代表執行役は「(構造たんぱく質素材の生産コストで)『1キログラム当たり100ドル』を切るのが壁だった。21年にタイでプラントを稼働することで、同数十ドル前半まで下げるめどがついた」と量産化に意欲を見せる。

日刊工業新聞2019年7月1日

  

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