「RoHS」強化、ケーブルやコードに使われる物質も
来月22日改正
欧州連合(EU)の化学物質規制「RoHS」の改正が7月22日に迫ってきた。同日からケーブルやコードに使われているフタル酸エステル4種の使用が大幅に制限される。産業界は早くから準備を進めてきたので、混乱はなく対応できそうだ。EUは国際的な合意を根拠に化学物質規制を運用しており、今後は国連の持続可能な開発目標(SDGs)も根拠の一つとして規制を強めようとしている。
2006年施行のRoHSは、EU域内で販売する電子機器への鉛など有害6種の使用を大幅に制限した。7月22日の改正後、フタル酸エステル4種も含有が1000ppm(重量比0・1%)までしか認められなくなる。事実上の使用禁止だ。フタル酸エステルは樹脂を柔らかくする可塑剤として普通に使われている。ケーブルやコードが主な用途だ。
「3月末までに全製品の確認が完了した」。NEC環境推進部の高田典子シニアエキスパートは安堵(あんど)する。同社は18年7月22日、フタル酸エステル4種が入った製品の調達を禁止した。サプライヤーには17年4月から代替物質への切り替えを要請し、納入品1点ずつにフタル酸エステル4種の含有がないか確認しながら対応を済ませた。
すでにEUは次のRoHS対象物質として7種を検討している。プリント配線基板の難燃剤、コネクターの接点に使う物質も含まれる。
同社環境推進部の生田優司主任は「用途が広く、しかも安価で使いやすい物質であり、影響があるはずだ」と説明する。これまで候補物質がそのまま規制対象となった例は少ないが、最新の動向を注視する必要がある。
EUは国際社会の合意を根拠に化学物質規制を推進している。国連環境計画の下で06年に決まった「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」は、20年までに化学物質による人や環境への悪影響を最小化する世界目標を掲げた。16年に始まったSDGsも目標3(健康)で「化学物質による病気や死亡を大幅に減少させる」、目標12(生産・消費)で「化学物質の放出を大幅に削減する」を目標とした。
今、循環経済(サーキュラー・エコノミー)も化学物質規制の根拠となった。EUは、資源を賢く使うことで産業や雇用を創出する循環経済を成長戦略に位置付け、プラスチック規制を打ち出した。資源の再利用には製品からの有害物質の排除が欠かせず、規制を強化している。さらにEUは有害性が疑われる高懸念物質(SVHC)のデータベースを整備する計画だ。企業は21年にも、製品別のSVHCの登録が求められることになる。
国際合意が後ろ盾なので、日本企業は正面から反対できない。少しでも負担を抑えるため、EUと交渉する必要がある。対案を提案できれば、規制の影響を和らげられる。そのためにもSDGsなど国際合意を理解する必要がある。
2006年施行のRoHSは、EU域内で販売する電子機器への鉛など有害6種の使用を大幅に制限した。7月22日の改正後、フタル酸エステル4種も含有が1000ppm(重量比0・1%)までしか認められなくなる。事実上の使用禁止だ。フタル酸エステルは樹脂を柔らかくする可塑剤として普通に使われている。ケーブルやコードが主な用途だ。
「3月末までに全製品の確認が完了した」。NEC環境推進部の高田典子シニアエキスパートは安堵(あんど)する。同社は18年7月22日、フタル酸エステル4種が入った製品の調達を禁止した。サプライヤーには17年4月から代替物質への切り替えを要請し、納入品1点ずつにフタル酸エステル4種の含有がないか確認しながら対応を済ませた。
すでにEUは次のRoHS対象物質として7種を検討している。プリント配線基板の難燃剤、コネクターの接点に使う物質も含まれる。
同社環境推進部の生田優司主任は「用途が広く、しかも安価で使いやすい物質であり、影響があるはずだ」と説明する。これまで候補物質がそのまま規制対象となった例は少ないが、最新の動向を注視する必要がある。
高懸念物質のデータベース整備
EUは国際社会の合意を根拠に化学物質規制を推進している。国連環境計画の下で06年に決まった「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」は、20年までに化学物質による人や環境への悪影響を最小化する世界目標を掲げた。16年に始まったSDGsも目標3(健康)で「化学物質による病気や死亡を大幅に減少させる」、目標12(生産・消費)で「化学物質の放出を大幅に削減する」を目標とした。
今、循環経済(サーキュラー・エコノミー)も化学物質規制の根拠となった。EUは、資源を賢く使うことで産業や雇用を創出する循環経済を成長戦略に位置付け、プラスチック規制を打ち出した。資源の再利用には製品からの有害物質の排除が欠かせず、規制を強化している。さらにEUは有害性が疑われる高懸念物質(SVHC)のデータベースを整備する計画だ。企業は21年にも、製品別のSVHCの登録が求められることになる。
国際合意が後ろ盾なので、日本企業は正面から反対できない。少しでも負担を抑えるため、EUと交渉する必要がある。対案を提案できれば、規制の影響を和らげられる。そのためにもSDGsなど国際合意を理解する必要がある。
日刊工業新聞2019年6月28日