東芝メモリの上場に追い風?米中摩擦がサムスンに逆風

一部工場停止は価格上昇のきっかけに?

 東芝メモリホールディングスに想定外の追い風が吹きだした。激化する米中貿易摩擦を背景にした米アップルの中国集中生産回避の動きはライバルの韓国・サムスン電子の失速を引き起こす可能性がある。東芝メモリは15日の停電で主力の四日市工場(三重県四日市市)の一部製造棟が現在も休止中だが、供給減はNAND型フラッシュメモリーの市況改善を助けそう。目指す2019年内の株式上場へ逆風続きだったが、足元で光明が見え始めた。

 東芝メモリの四日市工場は24日時点で一部の製造棟で操業を再開していない。停電は15日18時台に発生し、電力供給は同日に回復したものの、現在も生産ラインの復旧作業中という。当面の製品出荷は在庫で手当てできるようだ。本来なら主力工場の減産など喜べない事態だが、足元の半導体メモリー市況から判断すると別の見方も生じてくる。

 NAND型フラッシュメモリー価格は18年後半から下落し、現在も低迷が続いている。当初は主要メーカーからの供給増や米中貿易摩擦などの要因が重なったものの、低迷の長期化を招いたのは、世界首位のサムスン電子の安値販売にある。

 19年春ごろからサムスンが過剰在庫の解消へ“投げ売り”に転じたことで、市況価格がなかなか上向かなかった。東芝メモリの一部工場停止は価格上昇のきっかけとなるかもしれない。

 また、そのサムスンは中国・西安市のNAND型フラッシュメモリー工場への懸念も浮上している。アップルがスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」など主力製品で中国製品の使用比率を引き下げようとしている。サムスンも当然アップルへ半導体メモリーを供給している。スマートフォンなどの組み立ては中国に集中していることから、サムスンの西安工場からも一定量供給しているとみられる。

 サムスンの西安工場で作ったNAND型フラッシュメモリーが“中国製品”と認定されて発注量を減らされれば、日本国内で全量生産する東芝メモリにとって想定外の商機となりそうだ。

 最近の東芝メモリHDは市況低迷や、米国による輸出禁止措置を受けた大口顧客の中国・華為技術(ファーウェイ)の業績悪化などの逆風が相次いでいた。ひさしぶりの吉報は新規株式公開(IPO)への追い風となりそうだ。
(取材・鈴木岳志)

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日刊工業新聞2019年6月25日(エレクトロニクス)

  

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