15年も取引先の粉飾見抜けず、倒産の裏に金融機関の甘い与信管理

手芸用品販売のサンヒット、一時は上場をにらむほどに成長していたが

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 埼玉県八潮市に本店を置くサンヒットはスクラップブッキング、ソーイング、編み物用品、レザークラフト、フェルト工芸、羊毛クラフト、ペーパークラフト、生地などを扱う手芸用品販売業者だった。

 販売形態は卸売りが93%、直営店による小売りが7%という構成で、卸部門の得意先は大手量販店、100円ショップ、手芸専門店など200社にのぼった。小売り部門はアンテナショップ的な位置付けで、ピーク時には9店舗前後を関東地方で展開していた。

 売上高は2003年8月期には年商20億円を、16年8月期には同30億円を突破。一時は上場をにらむほどに成長していたが、今年のゴールデンウイーク明けに情勢が急変した。不渡りを出した後、5月14日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、関係先を驚かせた。

 申立書によると、倒産要因は粉飾決算。創業者の岡野社長のほかごく一部の経営陣のみが関与し、15年前から金融機関に実態と異なる決算書を提出して多額の融資を受けていた。

 対外公表されていた18年8月期末の負債は20億円超だが、実際の負債は破たん直前で80億円超。うち金融債務は21行に対し、70億円を超えた。

 粉飾が明らかになったのは2月から3月ごろ。金融機関のみを対象に私的整理を図ったが、資金繰りは間もなく破たんし、法的整理を申請せざるを得なかった。

 5月21日には東京地裁より再生手続き開始決定を受けたが、通常の民事再生と異なり経営陣は退陣し、経営と財産管理を行う再生管財人が選任された。

 事業は現在選定中と言われるスポンサー企業に譲渡して継続を図る意向だ。若手が多く、中堅社員も育ってきており、提案力もあると、事業継続に肯定的な取引先は少なくない。

 しかし、他に類をみない金額の粉飾については真相の説明が待たれる。それにしても15年もの長きにわたり粉飾を見抜けなかった金融機関にとっても取引先に対する与信管理の課題が浮き彫りとなった事例といえよう。
(文=帝国データバンク情報部)

<企業概要>
(株)サンヒット
住所:埼玉県八潮市大瀬6―9―7
代表:岡野泰山氏
資本金:2185万5000円
年売上高:約31億1600万円(18年8月期)
負債:約81億3100万円

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