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航空機業界の国際認証“Nadcap”って何?―新規参入への重要なステップ

【仙台】東光鉄工(秋田県大館市、虻川東雄社長、0186・48・3234)は、航空機部品製造の特殊工程の認証「Nadcap」を取得した。取得した特殊工程はメッキ後の研磨工程。同工程でのNadcap認証取得は国内初。世界でも5例目という。今回の認証取得を機に航空機分野の受注を拡大し、2020年度の生産高を1億円(15年度比約6倍)に引き上げる。
 同社は航空機の降着装置(ランディングギア)部品を手がける。現在はカナダのボンバルディア社向けの部品を製造販売しているが、今後は日系航空機メーカーなどの顧客を開拓する。
 今後5年間で1億6000万円を投じ、数値制御(NC)円筒研磨機6台、NC内径研磨機1台、ホーニング加工機1台を導入し、設備を増強する。人員は現在の17人から9人増やし26人体制とする。虻川社長は「次は検査工程(焼け検査ナイタルエッチ検査)のNadcap認証取得に挑戦する」と話し、引き続き航空機分野に注力する考えだ。

Nadcapって何?


(日刊工業新聞2013年6月3日付の記事から)


 航空宇宙産業界の国際的な工程認証プログラム「Nadcap(ナドキャップ)」の認証取得を目指す中堅・中小企業が増えている。取得企業は認証機関のウェブサイトに掲載され、機体メーカーや装備品メーカーなどとの取引には必須だからだ。自治体などによる取得支援の動きも広がってきた。ただ国別の申請数を比べると、2012年は中国が249件と日本を約70件上回る。アジア勢では日本が強かった航空機産業だが、今後は受注競争の激化が予測される。

 Nadcapは航空宇宙産業独自の品質認証の枠組み。米国の非営利団体(NPO)「パフォーマンス・レビュー・インスティテュート」(PRI)が定める。1990年に特殊工程管理の標準化や効率化を目指して創設され、現在は米ボーイングや欧エアバスなど50社以上の主要メーカーが、サプライヤーの製造工程の審査をPRIに委託している。
 認証の対象は熱処理や化学処理、非破壊検査など10以上の工程。品質管理規格「JISQ9100」などの取得も前提条件となる。監査員が実際に現場を見てまわる「ジョブ審査」に重点を置き、認証を取得しても原則1年―1年半で効力が切れるなど、厳しい要件が設定されている。

日刊工業新聞 2015年08月24日 機械・ロボット・航空機面、2013年06月03日 自動車・航空機面再編集
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
「Nadcap」についてまとめました。この認証は、航空機産業の参入障壁のひとつになっているとも言われます。日本企業が海外メーカーとの取引を始める際にはほぼ必須の要件ですし、国内大手企業に対してもアピールポイントの一つとなります。

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