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トヨタ東日本が“拠点化”急ぐ。九州は連携相手かライバルか

部品産業の裾野じわり。小型車の専門集団に向け正念場
トヨタ東日本が“拠点化”急ぐ。九州は連携相手かライバルか

設計と生産現場が連携してシエンタの競争力を高めた(TMEJ宮城大衡工場)


パーツネット北九州・東北企業が初交流−技術課題解決、双方に利


(日刊工業新聞2014年8月掲載「東北リポート」)


 北九州地域自動車部品ネットワーク(パーツネット北九州、柳下制也会長=デンソー九州社長)の関係者らが7月30、31の両日、東北地域の自動車部品関連企業と初交流した。交流団は宮城・岩手両県を来訪。初日に出迎えた東北経済産業局地域経済部の山家一郎次長は「距離はあるが、両地域がウィン―ウィンの関係になることを期待したい」と強調した。今後は意見交換なども行い、本格的な交流につなげていく。

 第3の拠点
 東北地域は基幹産業のエレクトロニクス産業が厳しい事業環境のため、すそ野の広い自動車産業の育成を急いでいる。トヨタ自動車は2012年7月にトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)を設立。東北を中部、九州に次ぐトヨタ第3の国内生産拠点と位置づけた。東北地域の自動車産業集積を目的とした産学官組織も岩手・宮城両県を中心に活発だ。

 一方、北九州では自動車産業が地域経済をけん引していたが、近年、韓国などの近隣諸国からの部品調達が盛んで厳しい状況にある。このため、北九州市産業経済局の大川博己理事は「課題になっている技術開発力の向上や人材育成などを共に学びたい」としている。

 ギブ&テーク
 交流団は宮城県2社、岩手県1社の自動車部品企業を訪問した。トヨタ自動車東日本の宮城大衡工場(宮城県大衡村)、アルプス電気古川工場(同大崎市)を見学し、地域産業創造団体のNPO法人「未来産業創造おおさき」(同、MSO)、北上ネットワーク・フォーラム(岩手県北上市)と交流した。

 パーツネット北九州副会長の松本工業(北九州市)の松本茂樹社長は「同じ中小企業同士。ギブアンドテイク」とし、一方、工場視察を受け入れた加美電子工業(宮城県加美町)の早坂裕社長は「フェース・ツー・フェースが重要」と歓迎した。

 見識を広げて
 またMSOの加藤義徳総括コーディネーターは「自動車は自動運転の方向に向かっている。エレクトロニクス分野では当たり前の電子制御や画像処理などで連携できる可能性はある」と前向きだった。

 交流は始まったばかり。柳下会長は「交流したからといってすぐに何かがあるのではなく、見識を広げていくことが重要」と強調した。次回は東北地域から北九州を視察する計画も検討されている。
(文=山谷逸平)
日刊工業新聞2015年08月24日 自動車面/2014年08月01日 列島ネット1面
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
レクサスの生産など品質で先行する九州。一方で、九州がこれから目指す車両開発をすでに行う東日本。今後の2拠点間の協調と競争が楽しみです。

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