ストレスチェック待ったなし―押さえておきたい企業対応のポイント

ブラック企業にならないために、リスクに対し覚悟を固め防備を

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 いよいよ、「ストレスチェック狂想曲」が奏でられ始めた。制度は12月1日にスタートする。だが、実施義務を負わされた、あるいは、実施を勧奨されている中小企業の理解はほとんど進んでいない。チェックをする産業医の教育も始まったばかり。新たに生じた経営リスクに中小企業は対応策を見いださねばならない。マイナンバーに加えて…。
 
 【中小企業の意識希薄、疑問山積も対応急務】
 「いつまでに何を実施すればよいのか」「費用は事業者が負担しなければいけないのか」「海外勤務者にはどう対応すればいいのか」「お金を払うのに、会社側に何も情報は入らないのか」―など、中小企業にとって「ストレスチェック制度」は疑問の山。ともすれば、中小・小規模企業はほとんど「分かっていない」ともいえる。

 12月1日以降、1年以内の実施なので、多少、時間的余裕はあるが、マイナンバー制度も来年1月からのスタート。作業は同時期となり、早急にストレスチェックのための体制を構築、リスクに対し覚悟を固め、防備しなければならない。

 東京商工会議所は7月末、初めて「ストレスチェックセミナー」を開催した。当初、参加者100人を見込んだが、募集開始3日目にして150人が応募。会場を拡大したが、それでもキャンセル待ちが発生した。

 中堅・中小企業を対象にしたが、来たのは比較的大きな企業。3、4割は大企業あるいは中堅企業。6割方は中小企業に分類できるが、小企業といえるのは1割程度。しかも出席した中小企業は担当者あるいは責任者でなく、保険関係業者や社会保険労務士などの代理出席が見られ、関心はいま一歩だ。

 それはアンケート結果からも見て取れる。回答で「自社内で対応する」は13・3%。「外部業者に委託する」は13・3%。「検討中」は73・3%だった。セミナーに参加するような中小企業でも対応は決めきれていない。
 
 【費用全額会社持ち】
 メンタル不調者の増加は食い止めなければならない。多くの場合、「まじめで、仕事熱心、成績のよい人がなりやすく、企業にとって痛手となるからだ」。だが、実施理由をメンタル不調を未然に発見しリスクを少なくしようとしているのだと説明しても、多くが結果を人事に使われることを恐れ、受けない傾向にある。また、一方で労働者に受診義務はない。

 厚生労働省は「全て受検することが望ましい」としている。ただ、役所用語の「望ましい」は難解。1回から3回程度、勧奨すればいいのではないかと見通しを話す人もいるが、定かではない。

 ストレスチェック制度の実施状況は地元の労働基準監督署に報告する。「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を提出するが、添付資料や口頭説明が必要なのかどうか分からない。

 報告書提出だけなら、制度は形骸化しやすい。とはいえ説明などを求められ、労基署から受検率が低い、勧奨回数が少ないなどの指摘を受ければ、“ブラック企業”のレッテルでも貼られかねず、企業存亡に関わる。

 また、国が決めたことだが、制度遂行費用は全額会社持ち。「従業員が従業員のために受検。まったく情報も入らないのに」との不満は多い。ストレスチェック項目はモデルを国が提示、問題が生じれば、規模の大きな企業は主に産業医が事後対応をする。規模の小さな企業は専門業者に丸投げしなければならない状況にあり、業者も乱立気味。

 現状では「扱うレベルによって1人当たり300円から3000円程度の幅がある」と東商のセミナーで講師を務めた三井住友海上火災保険の向井孝行経営リスクアドバイザーは話す。業者選定の判断も難しい。
 

日刊工業新聞2015年08月24日 中小・ベンチャー・中小政策面

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