今週から本格化、注目の株主総会は?

アクティビストと対話重視

 3月期決算企業の定時株主総会が今週から本格的に始まる。物言う株主(アクティビスト)が株主還元に加え、企業のガバナンス(統治)強化を求める姿勢を強めており、経営陣のアクティビストとの向き合い方が変わりつつある。東芝は26日の株主総会で10人の社外取締役候補者を提案する。機関投資家の反対が強い買収防衛策を廃止する企業も増える見込みだ。

 2019年の株主総会は「指名委員会等設置会社」への移行を諮る日産自動車や、主導権争いで経営陣の対立が激しくなっているLIXILグループなどが注目される。

 一方、企業の不祥事や経営不振などを背景にガバナンスや持続的な成長に対する投資家の視線は厳しさを増しており、企業は取締役の選任などで対応を迫られている。東芝は12人の取締役候補のうち、車谷暢昭会長と綱川智社長を除く10人を社外から選任する議案を提案する。社外取締役をこれまでの7人から3人増やして、成長力の向上につなげる。「社外取締役の増員により経営陣の成果にモニタリングを効かせることができる」(大和総研)という。

 オリンパスは25日の株主総会で、有力アクティビストとして知られる米バリューアクト・キャピタルから取締役を迎える提案を諮る。ガバナンス改革に力を入れるオリンパスだが、経営陣にアクティビストを加えるのは珍しい。

 また買収防衛策を導入(更新)する企業が年々減少しており、野村資本市場研究所(東京都千代田区)によると、19年の廃止企業数は年間ベースですでに過去最多という。西山賢吾主任研究員は「身を守る仕組みを持つよりも、企業価値を高めるほうが結果的に防衛につながる」と指摘する。

 日本製鉄は機関投資家らの意見を踏まえ、25日の株主総会で有効期間が満了する「株式の大量買い付けに関する適正ルール(買収防衛策)」を更新しないことを決めた。三菱地所や大日本印刷も買収防衛策を廃止する。

 アクティビストの存在感が高まり「企業側との水面下の交渉で実を取っている」(国内証券担当者)という。ガバナンスに関連する提案には経営陣も向き合わざるを得ない。投資家との対話を重ねる努力がこれまで以上に求められそうだ。

                         

日刊工業新聞2019年6月11日

  

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