中国事業の売上高が1億円のツムラ、3年間で1000億円も投資する狙い

国内依存減らし、医療用漢方製剤事業に並ぶ収益源に

 ツムラは2019―21年度の中期経営計画を策定し、中国事業で最大1000億円(前3年間は4億円)の投融資を実施する方針を明らかにした。中国企業と合弁で天津に工場を新設、将来的に中成薬と呼ばれるエキス製剤を生産し、現地販売に乗り出す構想だ。機動的にM&A(買収・合併)も実行する。地固めを続けてきた中国事業で積極投資に打って出て、中核の医療用漢方製剤事業に並ぶ収益源を育成する。

 加藤照和社長は新中計の説明で「中国事業の拡大に向け、今後3年間で投融資に500億―1000億円を充てる」と述べた。具体的な内訳は示さなかったが、天津盛実百草中薬科技(天津市)と合弁で建設を進める工場や、資本業務提携先の中国平安保険(深セン市)と共同設立する生薬の分析研究センターに投資する。その他、中国の中成薬の販売会社を中心にM&Aも検討する。

 ツムラの今の中国事業の売上高は年間1億円程度。これを21年度までに2・4億元(約40億円)に伸ばし、「27年度には(投資対象の)中成薬を柱に100億元(約1600億円)まで引き上げる」(加藤社長)方針だ。

 ツムラにとって中国事業の拡大は中長期的な経営課題の一つ。18年度の全体売上高1209億円の9割以上を占める国内向け医療用漢方製剤事業は、8割超のシェアを長年維持し販売量も増えるが、薬価改定が響いて市場規模の伸びは鈍い。

 一方、中国は中薬と呼ばれる伝統薬の市場は日本を大きくしのぎ、今後も堅調に成長する見通し。ツムラは漢方事業で培った生産技術やノウハウが生かせると判断。積極投資を軸に、中成薬などを伸ばし中国事業を医療用漢方製剤事業に比肩する規模まで引き上げる戦略だ。

 中国事業を広げることで収益基盤の多角化を図るほか、同社の全体調達量の約8割を占める中国産原料生薬の安定確保につなげる狙いもある。
同社中期経営計画資料より   

同社中期経営計画資料より

日刊工業新聞2019年5月28日

  

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