1ℓあたり金30g!携帯電話など“都市鉱山”から金属を安定回収する技術

宮崎大と日本ゼオンが開発、低毒性の溶媒でハロゲン系を代替

 宮崎大学工学部の大島達也教授と日本ゼオンの研究チームは、毒性の低い溶媒「シクロペンチルメチルエーテル(CPME)」を使い、廃棄処分する携帯電話などの都市鉱山から金属を安全に回収する技術を開発した。工業化に必要な技術レベルである溶媒1リットル当たり30グラム以上の金の抽出に成功した。都市鉱山からの金属回収にはハロゲン系溶媒が多く使われているが、健康リスクが懸念されている。代替となる溶媒として期待される。

 CPMEは近年工業的に生産されるようになった疎水性エーテル化合物。研究チームは塩酸存在下でCPMEによる抽出特性と濃縮操作を検討した。その結果、目的となる金属を選択的に抽出できるように設計された「キレート抽出剤」の溶媒として抽出に利用できることを見いだした。

 CPMEは引火点がマイナス1度Cである点が課題で、現在、その点を改善した化合物の合成を進めている。

 クロロホルムなどのハロゲン系溶媒は、さまざまな物質をよく溶かす。そのため、工業的に目的となる物質を分離し回収、濃縮する物質精製に使われ、化学分析での濃縮操作にも使われている。物性が近い金属イオンの抽出分離においてもキレート抽出剤をハロゲン系溶媒に溶かして使用する。だが、ハロゲン系溶媒は発がん性などの健康リスクがあるため代替となる溶媒の開発が望まれていた。

 詳細は、18日から北九州市小倉北区の北九州国際会議場&AIMで開かれる分析化学討論会で19日発表する。

日刊工業新聞2019年5月17日(科学技術・大学)

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。