「超人スポーツ」立ち上がる!―ドローンドッジボール、暗闇バトミントンなど

人と機械の融合で新しい種目や技術の活用法を生み出す

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「現代版チャリオット」では手綱を引いて一体感を味わう
 飛行ロボット(ドローン)やウエアラブル端末などが市民でも扱える技術(シビルテック)になり、人間と機械が融合したハイテクスポーツが市民の遊びの中から生まれる環境が整った。既存の商業スポーツとは違う、次世代の「超人スポーツ」が広がろうとしている。ただ普及には競技の面白さだけでは越えられない壁がある。新スポーツ開発の最前線を追った。

アイデア無限−ドローンドッジボール/移動ロボチャリオット


 「テクノロジーで普通の人を超人に変える」―。超人スポーツ協会(東京都港区)共同代表の稲見昌彦慶応義塾大学教授は意気込む。同協会は研究者やデザイナー、アスリートら49人が母体となって6月に設立した。身体能力や道具、競技フィールドなどを最新技術で進化させた超人スポーツを開発する。例えば、ボールにロボット技術を組み込めば意のままに操れる。ジャンピングシューズで跳躍力を強化したり、ヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)を通して遠くの相手と対戦したりとアイデアは無限に広がる。

 具体的な競技種目としては、ドローンをプレーヤー同士でぶつけ合う次世代ドッジボールや、馬の代わりに移動ロボットに戦車を引かせる現代版チャリオットなどを開発中だ。競技で勝ち抜くには技術力と運動能力の両方が必要になる。

 次世代ドッジボールは3人チームでドローンを遠隔操作し、ターゲットの人間にぶつけ合う。ターゲットになる人は縦横無尽に飛ぶドローンを必死に避ける体力が求められる。技術的には安全確保のためについているドローンの保護フレームが風の抵抗になるため、安全性と飛行性能のバランスを取ることが開発のポイントになる。

 自律飛行機能を設計できるチームは一度に多数のドローンで相手を追い込める。開発に取り組むエウレカコンピューター(埼玉県戸田市)の犬飼博士eスポーツプロデューサーは「がん具用のドローンですぐに始められる」という。競技チームを作り挑戦者の募集を始めた。



 現代版チャリオットは移動ロボの操作性と走行能力がカギになる。最初に開発したモデルではハンドルをあえて使わず、手綱で操作する。電動バイク用のインホイールモータータイヤを取り出し、キャスター付きのいすを引いて走れるか試した。高速回転するタイヤを手綱でバランスさせながら方向転換する。非常に操縦が難しいため、うまく操縦できると人間と機械が一体になれたような感覚になるという。

 試作機を操縦すると手綱だけで意思を伝えられる馬の賢さがあらためて実感できる。人と馬が訓練を重ねて初めて実現する意思疎通は乗馬競技の醍醐味(だいごみ)だ。今後、移動ロボの自律機能や操作者の意図をくむ知能化を進めたい考えだ。大胆に不自由さを取り入れることで、新しい方向性の技術開発が促される。



日刊工業新聞2015年08月20日 深層断面

COMMENT

政年佐貴惠
名古屋支社編集部
記者

機械を使った遊びを競技に昇華させるには、ルールをどう設定するかが課題になりそう。ゼロから新しい競技を作るよりも、まずはすでにあるスポーツを再定義したり、道具の発展が進まずに廃れてしまったスポーツを復活させたり、というのが現実的かもしれない。超人スポーツが実現すれば、道具が人体の一部になっているパラリンピックのあり方も変わりそうだ。

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