売れ残りは値引き…コンビニ「食品ロス対策」待ったなし

農林水産省が大量廃棄自粛を要請する事態に

 まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロス問題が深刻化している。国内の食品ロスは国による推計で646万トン(2015年度)にのぼり、これは世界の食糧援助量の約2倍に相当する。中でも、コンビニエンスストアなどでの恵方巻きの大量廃棄が問題となり、農林水産省が大量廃棄自粛を要請する事態にまで発展した。コンビニ各社も、社会問題化する食品ロス対策に力を入れ始めた。(文=編集委員・丸山美和)

 ローソンは店内で調理した弁当やサンドイッチ、揚げ物総菜などが売れ残った際、20時以降は20―50円値引き販売し、売り切ることを推奨している。19年3月には前年同月比で20%程度廃棄金額を減らした。5月14日からは揚げ物総菜の販売許容時間を2時間長い10時間に延長する。

 18年にはベンダーやメーカー、物流センターなど200社以上の協力を得て、サプライチェーン体制を見直した。1日3回配送の場合、個店による9時発注、22時納品を、10時発注、22時納品に変更。「コンビニは7時から9時が忙しい。10時であれば、朝の販売結果を見て発注できるので、発注精度が上がり、廃棄が減った」(秦野芳宏理事執行役員)という。夕夜間は14時発注を22時発注に変え、翌13時半納品を13時にした。発注から納品までの時間を短縮することで発注精度を高め、売れ残りを減らした。 

 ファミリーマートは総菜などが入ったパックに窒素ガスを充填したトップシール商品を拡充している。窒素ガスで酸化を抑え、消費期限を従来よりも3日長い5日とした。「おいしさと鮮度を保ちながら、廃棄を少なくできる」(富樫信人オフィサー商品・物流・品質管理本部生活デイリー部長)と説明する。総菜ブランド「お母さん食堂」は、賞味期限が45―60日あるスタンドパウチ型総菜の商品を増やした。さらに保存性の高い冷凍食品は昨年より20点多い計73点まで増やし、売り場の棚も広くしたことで18年度の売上高が前年度比50%増となった。

 セブン―イレブンもサラダ野菜を入荷から製造まで一貫して4度C以下で管理することで、販売鮮度を1日延ばし、廃棄ロスを2%改善した。

 これらコンビニの取り組みに加え、国も対策に乗り出している。経済産業省が2月12日から28日まで、コンビニやドラッグストアの一部商品にICタグを付けて、消費期限が近い商品ほど購入時にLINEのポイント還元を多くする実証試験を実施。さらに食品ロスを減らすための基本政策を盛り込んだ「食品ロス削減推進法案」が今国会で成立する見通しだ。官民挙げての食品ロス削減が本格化する。

日刊工業新聞2019年5月9日

  

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