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アナリストが解説!30秒で分かる注目企業の決算【任天堂編】

 任天堂が発表した2019年3月期連結決算は、営業利益が前期比40・6%増の2497億円だった。家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売台数が同12・7%増の1695万台。「大乱闘スマッシュブラザーズ スペシャル」など同ゲーム機向けソフトウエアの販売本数は、同86・7%増の1億1855万本を記録した。

 中国IT大手の騰訊(テンセント)が地元の広東省当局から同ゲーム機とソフトウエアの販売許可を受けたことに関して、古川俊太郎社長は「テンセントは中国ゲーム市場において最大規模の基盤を持つ。共同で中国ビジネスの最大化を図る」と述べた。ただ販売時期などは未定とした。

 20年3月期連結業績予想は当期利益が前期比7・2%減の1800億円となる見込み。スイッチの販売台数目標は1800万台に設定した。

<アナリストの目>


 19年3月期の営業利益は2497億円(前期比40・6%増)と、弊社予想2405億円を上回るものの、IFISコンセンサス2521億円を下回った。

 増益の主因は、①ニンテンドースイッチ用ソフトの拡販(販売数:1億1855万本、同86・7%増)、②デジタル売上の増収(同95・4%増の1188億円)。20年3月期予想の営業利益は2600億円(前年比4・1増)。弊社予想2836億円、IFISコンセンサス3415億円を大幅に下回る。このため、今回の決算が株価に与える影響はネガティブと考える。

 今後の注目点は、以下の3点。①3月25日にWSJ が報道したスイッチハードの新型モデル(上位版、廉価版)発売の可能性、②中国でのスイッチ販売認可によるインパクト、③テンセントとの協業による同社のモバイルゲーム中国展開の可能性(現時点でモバイルゲーム事業における提携等はない)。
(三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニアアナリスト・村上宏俊氏)
日刊工業新聞2019年4月26日(ICT)に加筆

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