紙おむつにインフラ…ASEANで「不織布」生産拡大はいつまで続くか
文=峯岸 研一 16年末には日系3グループ合わせ年産能力10万トン超え
PP・SB以外の不織布の動きも活発化
一方、東レグループのインドネシアにあるトーレ・ポリテック・ジャカルタ(TPJ)は現状の年産1万9000トンに加え、2016年後半稼働を目指して年産1万8000トンの新プラントを建設する。旭化成グループと東レグループ二社の新プラントが完成する2016年末には、PP・SBの日系3グループを合わせたASEANにおける年産能力が10万トンを超える。
衛生材関連はPP・SB以外の不織布企業も動きを活発化している。チッソグループのJNC・ノンウーブンズ・タイランドは、2014年から主に紙おむつのトップシートや生理用品に使われるエアスルー(サーマルボンド法)不織布を年4800トンで生産を開始した。
チッソは原料一貫生産目指しES繊維も現地で
チッソグループはインドラマグループとの合弁会社ESファイバーズビジョンズ・タイランドを設立、2015年中には原料一貫生産を目指して原料であるポリオレフィン系熱融着のES繊維を年産1万4500トンの生産開始を予定している。一方、ダイワボウグループのダイワボウ・ノンウーブン・インドネシア(DNI)は2014年にエアスルー不織布の生産を年2400トンに引き上げたが、次の増設を検討するほど旺盛な需要が続いている。
ユニチカのタイ子会社は過去最高益で新プラント建設へ
不織布事業の拡大は紙おむつや生理用品向けに留まらない。ユニチカグループのタイ・ユニチカ・スパンボンド(TUSCO)はポリエステルスパンボンド(SB)を生産しているが、2014年度(1-12月)に過去最高益を達成。その勢いもあり2017年4月稼働を目指して年産6000トンの新プラント建設を決定した。
既存の4000トンを合わせると1万トンまで拡大するが、中心のタイルカーペット一次基布に加えて、ASEANにおけるインフラ基盤整備の進展により需要拡大が見込まれるジオテキスタイルなど産業資材向けを強化する。ユニチカグループが強みとしている芯鞘タイプ(芯ポリエステル/鞘ポリエチレン)「エルベス」などの差別化品についても、市場動向を見据えながら生産を視野に入れている。
ASEANにおいても高品質な日本製品に対する需要は根強く、それを支える不織布など関連部材の供給体制を強化する動きは今後も続きそうだ。
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