記者の問いかけに鈴木会長は…。スズキ経営陣、責任免れず

スズキの検査不正、生産方式ほころぶ

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スズキを牽引してきたカリスマ、鈴木修会長
 「スズキ生産方式の誤解があったと思っている」。12日、都内で開いた会見で鈴木俊宏スズキ社長はこう述べ、深く頭を下げた。スズキがブレーキなどの安全性能に関わる分野の検査不正と、無資格の検査員が単独で最終検査をしていたことが発覚した。小さなクルマを低コストでつくることを強みとしてきたスズキ。一連の不正は、鈴木修会長が「小・少・軽・短・美」という旗印の下で追求してきた生産方式のほころびを露呈する結果となった。

 不正の原因調査で、まず挙げられたのが検査員不足だ。調査書では「検査員1人当たりの処理能力の把握や定期的な人員補充の不足により、現場には常に余裕が無かった」としている。さらに効率化を追求した工場内には車両保管場所が慢性的に不足し、工場内外にあふれる再検査待ちの自動車が「検査員の心にプレッシャーをかけ、不正へと追いやった」と指摘した。

 今回の不正により、リコール関連費用として約800億円の特別損失を計上。さらに6月には検査専門の「検査本部」を設置。向こう5年間で1700億円の投資を行い現場改革に取り組む。鈴木社長は「建屋の建て直しなど工程全てを作り直す」と覚悟を述べた。

 度重なる不正発覚で、好調だった自動車販売への影響は避けられない見通し。特に10月の消費増税前の駆け込み需要が期待できる、この時期の不祥事は大きな痛手となる。巨額の対策投資で、収益の大黒柱であるインド事業への投資の影響も懸念される。

 今回の不正発覚について、鈴木会長は日刊工業新聞社の取材に対し「社長が全て話した」と口を閉ざす。16年に明らかになった、燃費試験データを不正に測定していた問題では当時、会長兼CEO(最高経営責任者)だった鈴木会長がCEO職を辞している。16年の不正発覚以降、再発防止を図ってきたが膿を出し切れず不正がまた発覚した。

 スズキを牽引(けんいん)してきたカリスマ経営者である鈴木会長を含め経営陣は、今回も責任を免れることはできないだろう。
(浜松・竹中初音)

日刊工業新聞2019年4月16日 (自動車・輸送機)

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