「試食」というコミュニケーション力

百貨店やスーパーがマーケティングの場として重視

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ダイエーは管理栄養士らが実演提案するカウンターを設けている
 百貨店やスーパーマーケットが試食販売に力を入れている。消費者に商品の魅力やレシピを提案して集客するとともに、顧客とのコミュニケーションを生かした商品開発、マーケティングの場として重要視している。賃金やボーナス増加の動きはあっても、デフレや消費増税の影響は依然として大きく、各社は消費者の財布のひもを緩めるために知恵を絞っている。

 西武池袋本店は7月、総菜売り場で「食べ比べご試食会」を開いた。日替わりでポテトサラダや食パン、コロッケといった人気が高い商品をカウンターに並べ、食べ比べてもらって意見を聞き、商品開発にもつなげる。

 4月に管理栄養士4人を含む総菜の専門販売員「デリカアテンダント」を7人配置した。約220店の商品から、来店者が好みのものを見つけるための提案をしており、より商品を理解してもらうために企画した。各店舗の試食品を1カ所に集めて提案するのは初めてで、「食べ比べた上で、納得して買ってもらえる」(担当者)と手応えを語る。

 サミット(東京都杉並区)は試食カウンター「おためし下さい」を30店舗に設けている。新製品など4―6アイテムを並べており、来店者の3割が立ち寄っている。「商品を買わせるためではない。普段はあまり注目されない商品や、買おうか迷っていた商品などを気軽に試す場」と、営業企画グループの三村りつ子氏は説明する。

 売り込んでいるとの印象を与えないため、基本的には商品説明に関しても、聞かれれば答えるという姿勢だ。一方でアンケートでは、試食が購入動機につながっているという結果も得られたという。
 
 試食販売する商品はアンケートでも受け付けている。現在の設置店舗数は全体の3割弱程度だが、新規出店や大型改装を機に増やす方針だ。「消費者の購買意欲は下がっているが、ほしいと感じれば買ってもらえる。サミットに来れば何かある、わくわくする、というイメージづくりにつなげたい」(三村氏)。
 
 ダイエーはメニューを実演提案するカウンター「dai―docoro(ダイ―ドコロ)」を、6月に新業態「フードスタイルストア」1号店として改装オープンしたダイエー赤羽店に設けた。3店舗目の設置で、販売している食材を使ってカウンターで調理した商品を並べるとともに、管理栄養士らが来店者からの相談などに応じ、店舗の活気作りにもつなげている。
 
 各社ともにメーカーが派遣した販売員だけでなく、店舗スタッフが中心となって商品の魅力を伝えているのが特徴だ。商品を1カ所に集めることで、消費者が試しやすいメリットもある。「失敗せずにおいしいものを買いたい」という来店者の心理に応えながら、コミュニケーションのきっかけにしている。
(文=江上佑美子)

日刊工業新聞2015年07月07日 建設・エネルギー・生活面の記事を一部修正

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

店員の人と話すとどうしても買わないといけないかな、という気持ちになってしまう。個人的には「さりげない」感じでいてほしい。コミュニケーションというのは、ほんとに難しいものだ。

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