素材業界にイエローカード!「産業競争力強化法」相次ぎ適用

経産省が事業統合や設備集約を促す。一方で「エコシステム」が崩れる副作用も

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三菱化学鹿島事業所のエチレンプラント(茨城県神栖市)
 

石油精製 海外に成長の軸足


 国内2位の出光興産と5位の昭和シェル石油が経営統合の方針を表明したことで、再編機運が一層高まってきた石油元売り業界。3番手、4番手につけるコスモ石油や東燃ゼネラル石油の事業再編に向けた検討にも、拍車がかかりそうだ。
 
 石油製品の国内市場は低燃費車の普及に伴うガソリン消費の減少などで、ピーク時の99年から約3割縮小。この影響で各社の収益も悪化した。こうした中で経産省が描くのは資本の壁を越えた事業再編、さらには石油やガス、電力などの垣根を越えたエネルギー業界の再編で企業規模を拡大し、新興国市場への進出など成長性が高い事業モデルへの転換を図るという筋書きだ。
 
 出光の月岡隆社長と昭和シェルの亀岡剛社長は、統合に関する7月30日の会見で「国際競争に勝てるグローバル企業を目指す」方向で一致したことを明らかにした。先細りする国内から、新興国などの市場に成長の軸足を移す必要がある。業界各社と経産省は、こうした認識を共有していると言える。
 

板ガラス 消耗戦避けたい


 経産省の50条適用に対して、ガラス業界は消極的な姿勢をみせている。ただ、業界全体として「長期的にみれば国内需要が減少するのは認識している」(関係者)のも事実。各社の板ガラスビジネスを問うきっかけとなったことは間違いない。
 
 グローバル市場の中で、経産省は国内ガラスメーカーを主要プレーヤーと定義する。自動車用ガラスは、高品質や高機能が参入障壁となり、旭硝子、日本板硝子、セントラル硝子の3社で5割以上のシェアを握る。一方、建築用ガラスはコモディティー(汎用品)化が進み、地場メーカーとの競争が激化している。
 
 国内のガラス出荷額は90年をピークに減少し、14年は90年比で約4割減った。一方、日系企業が強みとする自動車用ガラスの世界シェアでも、中国・福耀玻璃工業集団が約2割を占めるなど、存在感が増している。
 
 新興勢力の追撃を避けながら、国内メーカー間による消耗戦は避けたいところだ。
 

電炉 「淘汰」避けられず


 国内で30社強がしのぎを削る普通鋼電炉業界。主要製品の大半が建設用鋼材で、うち約半分を鉄筋用小型棒鋼が占める。中長期的には国内の建設需要の縮小に伴い、先行きは決して楽観できない。
 
 すでに淘汰(とうた)も始まっている。電力多消費産業の電炉業界はそもそも”フクロウ操業“と呼ばれるように、夜間や休日の安い電力を使って操業している。毎年、電力需給が逼迫(ひっぱく)する夏季に工場を止め、設備の定期修繕を行う。
 
 それだけに、東日本大震災以降の電力料金の上昇は各社の懐を直撃。北海道や首都圏の3社が廃業し、2度の値上げを行った関西電力の管内では、電炉大手による工場の集約・休止の決定が相次いでいる。
 
 現在は原油安で電気料金や、加熱炉などに使う燃油・ガスの価格も下がり、原料の鉄スクラップ価格も落ち着いてはいる。だが、いずれ資源価格が反転すれば、供給過剰の市場でそのコストを製品に転嫁する力はない。そこで、もう一段の再編・淘汰は避けられない。

日刊工業新聞2015年08月10日 深層断面

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村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

 2020年に予定される東京五輪までは内需は堅調さが続くだろうが、五輪後は内需の縮小に拍車がかかることは間違いない。どう競争力を高めるのか。準備を進めるのは今しかない。

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