住友化学がゲノム編集の事業化急ぐ。複数大学と研究へ
住友化学は全遺伝情報(ゲノム)を自在に書き換えられるゲノム編集の研究を本格化させる。大学との共同研究に乗り出し、編集技術開発や作物育種などを狙う。重要な経営課題である次世代事業の早期育成に貢献すべく、2021年度までにゲノム研究の足場を固めて、24年度までに事業化を目指す。
住友化学はゲノム研究分野で複数の大学と共同研究を始めた。主なテーマはゲノム編集とゲノム育種、微生物などによる物質生産の三つだ。19―21年度の現中期経営計画で研究の足場を固めて、次期中計で新規事業につなげたい考えだ。
具体的には現在主流のゲノム編集技術の一つ「クリスパー・キャス9」より生産効率の高い編集技術を開発する。同技術を用いて新しい作物の品種もつくり出す。加えて、機能性物質を生み出せる微生物や植物をつくる。
ゲノム編集などの研究開発は米国が先端を走る。ただ、日本でも厚生労働省が3月にゲノム編集技術を使った食品について、従来の遺伝子組み換え食品に該当しないものは届け出だけで管理する方針を決めた。ゲノム編集技術を使った食品が今後普及しやすくなる可能性はある。
住友化学は18年1月に傘下の大日本住友製薬とライフサイエンス関連研究を統合して、バイオサイエンス研究所を新設した。グループ全体のゲノム研究の中核を担うほか、新規抗体や機能性食品などの研究開発も行っている。既存事業の枠におさまらない新規ビジネスの芽を育てる使命を帯びる。
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日刊工業新聞2019年4月2日