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“働くメガネ”―業務用ウエアラブル市場を制するのはどこだ!?

セイコーエプソンに続き富士電機も9月に投入。グーグルグラスは医療や航空機工場で
“働くメガネ”―業務用ウエアラブル市場を制するのはどこだ!?

富士電機のメガネ型端末


セイコーエプソンが点検・保守の特化型を9月に発売


日刊工業新聞2015年6月24日付


 セイコーエプソンは23日、点検・保守などの作業を効率化する業務用メガネ型ウエアラブル端末「MOVERIO Pro(モベリオ プロ)BT―2000=写真」を、9月に発売すると発表した。従来の一般消費者向けモデルに比べカメラの解像度や位置測定精度、画面の輝度を向上するなど、作業現場で使いやすいよう特化した。国内は3年間で1万台の販売を目指し、欧米でも同時期に発売する。

 ヘッドセットを装着すると、目の前に作業の手順書などが表示される。カメラを2眼にして奥行きを測定できるようにしたほか、カメラの解像度を500万画素に向上。また輝度を従来の1・5倍に高めた。自社開発のセンシングシステムを搭載し、高精度な位置・姿勢測定が可能。音声と画像を使った通信が可能で、遠隔地からの作業指示にも利用できる。点検・保守作業や、物流倉庫での導線効率化といった用途を想定する。

 アジア地域でも発売する計画で、グローバルで展開する方針だ。セイコーエプソンの渡辺潤一取締役は「モベリオは自社技術を生かせる領域。エプソンの事業の柱となるよう育てたい」と意気込んだ。

富士通はハードとソフトを組み合わた製品群を投入。まずはヘッドマウントディスプレー


日刊工業新聞2015年5月12日付


 富士通は11日、人や物の状態・状況・周囲の環境を計測(センシング)し、そのデータを解析して活用するモノのインターネット(IoT)製品を開発したと発表した。データ解析するマイコンに無線通信機能を組み合わせた機器と、データをクラウド上で学習・分析するソフトウエアで構成。製造業やサービス業、医療など幅広い分野でIoT活用を支援する。

 同日会見した富士通の斎藤邦彰執行役員常務は「パソコンやスマートフォンのような売り切り型ではない、ハードとソフトを組み合わせた新たなビジネスモデルとして展開する。16年からは飛躍的に伸びる」と期待を寄せた。

 富士通のIoT製品はセンシングしたデータを独自のアルゴリズム(計算方法)で分析する。例えば、転倒や身体姿勢状態の検知などから収集したデータで熱中症や転倒を予知するなど、すぐに活用できるデータに変換する。既存の機器やシステムに簡単に組み込める製品として提供する。また、同製品を組み込んだ眼鏡型やバッジ型、リストバンド型などのウエアラブル端末を順次発売する予定。

 この組み込み端末の第1弾として、企業向けヘッドマウントディスプレー(HMD)を同日発売した。設備の保守点検や工場の組み立て業務などで利用を想定しており、安全で正確な作業を支援する。価格は個別見積もり。
日刊工業新聞2015年08月13日 1面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
業務用はデザインや着け心地に対する許容度が高く着用のハードルは低い。両手が自由になるなどのメリットもあり、IoTと大上段に構えなくても作業の仕方を変える可能性もある。建設現場などでは作業員の高齢化や人手不足からノウハウや技能伝承のニーズは普通に考えられるが、長距離ドライバーの安全運転支援など想定される用途は広い。あとは導入コスト。端末の価格はまだ高く、売り方をどうするかが日本企業の課題だろう。グーグルがプラットフォーム化で戦略で導入費用を安くしたりすると、太刀打ちできなくなる。

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