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“働くメガネ”―業務用ウエアラブル市場を制するのはどこだ!?

セイコーエプソンに続き富士電機も9月に投入。グーグルグラスは医療や航空機工場で
“働くメガネ”―業務用ウエアラブル市場を制するのはどこだ!?

富士電機のメガネ型端末

 富士電機は遠隔地から点検・保守作業を支援できる業務用メガネ型ウエアラブル端末を開発した。端末で撮影した画像を作業者と、遠隔地にある支援本部の双方で共有。本部が画像に指示やコメントを入力して端末に表示し、リアルタイムに支援する仕組み。点検・保守の品質を熟練技術者並みに維持でき、作業効率を向上できる。9月にも市場に投入する。

 ヘッドセットはレンズ部に映像を投映できるメガネ、視線方向の物体を撮影するカメラ、通信機器などを搭載する。現場の作業者はヘッドセットを装着すると産業設備や生産ラインなどを撮影でき、画像や動画、音声で点検・保守作業の状況を記録できる。

 また遠隔地にある支援本部では、現場で撮影された画像をリアルタイムに閲覧できる。的確な作業を支援するために、画像にコメントを入力したり、目印を付けて指示したりすることが可能。非熟練者でもレンズ部に投映された画像を見ながら作業でき、ミスや非効率な動きを省ける。

 国内では少子高齢化に伴い、点検・保守の現場でも人手不足が深刻化している。一方、海外では日本に比べて非熟練者の割合が多く、分かりやすく教えるツールが求められている。富士電機は「本部と現場をリアルタイムにつなぐことで点検・保守の質をキープできる」という。

 メガネ型ウエアラブル端末事業を巡ってはセイコーエプソンやソニー、東芝など電機メーカー各社が取り組んでいる。富士電機は利用対象を産業設備に絞り込み、点検・保守作業の支援ツールに特化したパッケージとして訴求する。

グーグルグラスが業務用として復活!?


ニュースイッチ2015年7月11日公開


 グーグルグラスが業務用として復活ーー。今年1月から一般消費者向けの製造販売が停止されていたメガネ型ウエアラブル端末の「グーグルグラス エクスプローラーエディション」。装いも新たに「エンタープライズエディション(EE)」として近く発売される見通しだと9to5Googleはじめ、複数のメディアが報じた。

 グーグルグラスEEではディスプレーの役目を果たすプリズムを以前より大きくし、プリズムのあるメガネ右上に視線を向けなくとも、正面上に映像が見えるようにする。以前のモデルで長時間使った時に目にかなりの負担がかかっていたのを和らげるためと見られる。解像度も向上するとしているが、具体的な数値はわかっていない。

 MPUにはこれまで通り、インテルのチップを採用。新しい低消費電力型Atomチップを使い、バッテリー時間も延びる見通し。現在最上位の「アンドロイドウェア」スマートウォッチに使われているAtomチップに比べ、高いクロック周波数のチップを内蔵する。EEでは前のモデルに比べて処理性能や熱対策もかなり改善されているという。さらに長時間利用できるよう、外部バッテリーパックもオプションとして用意する。

 グーグルグラスの業務分野の利用についてグーグルは、すでに10の医療機関と協業を進めているほか、生産の効率化を目的にボーイングの航空機工場でも活用を始めているという。

日刊工業新聞2015年08月13日 1面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
業務用はデザインや着け心地に対する許容度が高く着用のハードルは低い。両手が自由になるなどのメリットもあり、IoTと大上段に構えなくても作業の仕方を変える可能性もある。建設現場などでは作業員の高齢化や人手不足からノウハウや技能伝承のニーズは普通に考えられるが、長距離ドライバーの安全運転支援など想定される用途は広い。あとは導入コスト。端末の価格はまだ高く、売り方をどうするかが日本企業の課題だろう。グーグルがプラットフォーム化で戦略で導入費用を安くしたりすると、太刀打ちできなくなる。

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