注目ベンチャーが倒産に追い込まれた落とし穴

アウトスタンディングテクノロジー、「技術力」と「営業力」両輪回らず

 アウトスタンディングテクノロジーは、画期的な技術で高い評価を得た通信機器ベンチャーだったが、2018年12月、東京地裁へ民事再生法の適用を申請、1月9日に再生手続き開始決定を受けた。注目のベンチャー企業は、なぜ法的整理を余儀なくされたのか。

 同社は、07年6月に設立された。創業以来、国家プロジェクトの一環として、光と通信をテーマとした研究を手がけ、発光ダイオード(LED)の光に信号を重畳し通信する空間通信技術である「可視光通信技術」を主体に開発に取り組んできた。国内外の電機・機械メーカーなどからの委託で開発を進めてきたもので、照明型機器を使い、パソコンとの間で高速通信が可能だ。

 電波を使用しないため電波の干渉を受けず周辺機器へも影響を与えないのが、同技術の大きな特徴だ。これを利用し、従来、無線通信の利用が難しかった医療現場やプラント、電力施設でもワイヤレス通信を実現できる技術として注目を集めた。15年には、日経優秀製品・サービス賞で審査委員特別賞を受賞するなどの評価を得ていた。

 この間の研究開発投資は、民間企業からの研究受託費や助成金で繰り回していた。しかし先行投資が大幅にかさみ債務超過に転落するなど収益面が課題となっていた。年間30億円の収入を目指していたが、大口顧客とのプロジェクトが長期化するなど2018年12月期の年商規模は約4000万円に低迷。運転資金が枯渇し財務面の回復も見込めず自力での再建を断念せざるを得なかった。

 優れた技術を開発しながらうまくいかなかった背景に「営業力のなさ」を指摘する声もある。どんなに優れた技術をもっていても、それを世に出す力がなければ商業ベースには乗らない。「技術力」と「営業力」。この両輪がうまく回らなければ、どんなに優れたベンチャーもうまくはいかない。

(文=帝国データバンク情報部)

<企業概要>
(株)アウトスタンディングテクノロジー
住所:東京都中央区日本橋3―5―12
代表:伊藤行雄氏
資本金:2億1128万円
年売上高:約4000万円(18年12月期)
負債:約3億6000万円

日刊工業新聞2019年3月5日

  

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