残尿や排尿で悩んでいる人、支援機器はここまで進化している

介護者にも重宝、携帯型も登場

 内閣府が2013年に行ったアンケートによれば、介護者が最も苦労する介護作業として、62・5%の人が排せつ介助作業(排せつ時の付き添いやおむつの交換など)を挙げている。また、介護される側にとっても、排せつはなるべく介護者の手を煩わせずにすませたいであろう。年を取ると、尿漏れや頻尿、おしっこが出にくい、残尿感など、排尿に関する悩みが増える。男性では、前立腺肥大によるおしっこが出にくい排尿障害が、女性では、おしっこをためられない蓄尿障害が主な悩みの種だ。その結果、夜間の眠りが浅くなったり、水の摂取を控えたり、外出を控えたりすることになり、生活の質が低下する。

 また認知症においては、トイレの場所や使い方がわからなくなったり、尿意を感じなくなったりすることで失禁するケースもある。夜中にトイレに起きて転倒するのではないかと気にして介護者が眠れないケースもあるだろう。介護する側も介護される側も、ある程度おしっこがたまったかどうかがわかるシステムがあれば重宝する。

 超音波ぼうこう内尿量測定機は、そんな悩みを解決してくれる排尿支援機器だ。これは、健康診断や胎児健診などで用いられる超音波画像装置と同じ仕組みで、ぼうこうの膨らみ具合を体外から超音波で検出し尿量を推定する。超音波だから、体にやさしく安全性は高い。携帯型でその都度体にあてる商品や、パッチやテープで固定し常時観測可能にして尿がたまったらスマホを通してお知らせする機能のあるものもある。医師がぼうこう内尿量を計測するために用いる医療機器として使われるものや、介護機器あるいはヘルスケア家電として量販店などで購入可能なものもある。

 医療機器としては、シスメックスの販売している「ブラッダースキャンシステムBVI6100」や大塚製薬工場の「リリアムα―200」が認証を受けている。手軽に購入できるヘルスケア家電としてはトリプル・ダブリュー・ジャパンの「DFree―U1P」やリリアム大塚の「リリアムスポット」がある。いずれも超音波によってぼうこう内の尿量を確認する仕組みだ。

 全国老人福祉施設協議会のシンクタンクである老施協総研が2015年に実施したアンケートによれば、超音波ぼうこう内尿量測定機の介護施設における普及率は低く、1・4%に過ぎない。要介護者が、介護施設から自宅に戻れるかどうかは、自力で排尿できるかも重要なポイントとなっている。施設で尿量測定器を用いてトレーニングすれば、自身の排尿のタイミングを知ることも可能だ。

 普及が進めば、在宅介護や施設介護における介護者の負担低減の一助になるものと期待される。
(文=毛利光伸<旭リサーチセンター主幹研究員>)

日刊工業新聞2019年2月28日

  

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