人員確保に動くケースも、春の10連休に企業はどう過ごす?

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大型連休を利用して、日々の疲れをリフレッシュしたい
 春の皇位継承に伴う10連休まであと2カ月と迫る中、企業が対応に追われている。例年のゴールデンウイーク(GW)と同様に工場を長期に稼働停止する企業が多いものの、稼働が止められない工場は人員の確保に動いている。また、連休を利用した設備のメンテナンスを実施する企業もある。

大手製造業、例年通りー休みをまとめて取る



 一般的に大手製造業はGWではまとまった休みを取る傾向にある。今回の連休でも各社、基本的には例年通りの対応になりそうだ。

 トヨタ自動車は国内工場を4月27日から5月5日まで止め、9連休とする。2018年のGWも9連休だった。トヨタは稼働効率などを考え、GWや盆、正月の期間に長期連休を確保する一方、祝日に稼働日を設定するなどしてバランスを取っている。今回も例年同様の対応で稼働日と休日を決めた。

 2輪車・4輪車向け制御部品を手がけるケーヒンも同じく、4月27日―5月5日の9連休にする予定。日数的には例年と変わりはないという。

 アマダホールディングス(HD)は営業・サービス部門が4月27日―5月6日の10連休とし、本社と工場は4月28日―5月6日が休業日に。DMG森精機は製造部門が4月27日―5月5日に休業する。

 シャープは連休中は原則、すべて休みとする。ただ、液晶パネルを製造している亀山工場(三重県亀山市)をはじめ、稼働を止めると再稼働に時間がかかる設備集約型の工場は、交代制のシフト勤務で操業を続ける。

 村田製作所は各事業所、グループ各社で休日期間をずらすなどして、生産体制に影響が出ないようにする。期間は10連休に近い形で調整する。日本電産は4月28日―5月6日までの9連休、京セラは4月27日―5月6日までの10連休とする計画だ。TDKは連続操業の工場については例年通り稼働する予定だ。

 三菱ケミカルは食品包装などに使うフィルムを製造する滋賀事業所で生産調整を検討中。最終ユーザーのスーパーマーケットなどの10連休中の営業情報を収集しており、その状況に応じて工場の生産計画を立てる。

 デンカは渋川工場で連休を利用した工事を実施するため休業する。大船工場(神奈川県鎌倉市)と伊勢崎工場(群馬県伊勢崎市)は在庫状況によって操業を1―2日止める可能性がある。

 住友金属鉱山は銅製錬やニッケル製錬などの生産拠点は休止することはできないので、「基本的に通常の連休対応と同様、操業は続ける」(広報IR部)。

     

 ビール・飲料メーカー各社は4月30日と5月2日を通常営業日とし、連続の10連休にならない。アサヒグループHDやキリン、サントリーHD、サッポロHDおよび各国内グループ企業などだ。

 主に本社や営業部門が対象。アサヒやサッポロなどは緊急の用事がない場合は、この2日間に有給休暇の取得を推奨する。また各社の工場ではGW中もそれぞれの生産計画を立てているため、計画に合わせて出勤日を調整するという。

 また、長期休暇でスマートフォンの利用者が増えてトラフィック(通信量)が増大する懸念があり、このためKDDIは障害発生時などに対応する保守人材について、年末年始と同様の増員体制を敷く予定だ。

 連休を利用し、設備の更新・メンテナンスをする企業もある。日本精工は、軸受などを供給する完成車メーカーの動向に合わせ、例年通り本社機能や国内工場の稼働を休止する。その間、熱処理などの生産設備をメンテナンスする。

 島津製作所は本社三条工場内(京都市中京区)に新設する開発棟「ヘルスケアR&Dセンター」の6月初旬本格稼働に向けた準備を加速する。

 技術者の引っ越しに加え、ショールームやミニ図書館、技術展示スペースの作成などを進める。

物流、輸送力の確保策を検討/観光、海外旅行が通年の3倍


 BツーB(企業間)物流はメーカー、流通の稼働や出荷に左右される。JR貨物の真貝康一社長は「荷主や利用運送事業者に、計画をヒアリングしているところだ」と話す。連休前後に輸送需要の集中も見込まれることから、輸送力の確保策を検討している。

 また、企業物流大手のセンコーグループHDは、「荷物の卸先となる小売業などが書き入れ時となる。繁忙に伴い、荷物量が増えると(トラック運転手など)人員の増員も検討しなくてはならない」(広報)とする。

 長期の連休は観光業界にとって特需だ。日本旅行の堀坂明弘社長は、「異常値と言われるぐらい好調だ」と手応えを明かす。旅行各社は海外旅行を中心に、通年の2倍や3倍といった申し込みが寄せられており、チャーター便の設定などで需要に応えている現状。

 国内の宿泊にはまだ若干の余裕があるようだ。

 また、JR東海は4月26―5月6日に東海道新幹線を前年同期間の2%増の4340本運行する。4月26日は430本を運行予定で、GWの1日あたりでは過去2番目に多くなる。

金融―銀行、通常の土日と変わらず/証券、決算発表の集中に懸念


銀行業界ではこれまで6連休が最大で10連休の対応は初めて。ただ、今回も現金自動預払機(ATM)による現金引き出しやデビットカードなどの利用は可能で、通常の土日と基本的に変わらない。

 全国銀行協会では18年10月に、銀行間の送金データを24時間365日処理できる新システムを稼働。「連休中でも昼間の時間帯なら約7割の銀行でリアルタイムの振り込みができる」(藤原弘治全銀協会長〈みずほ銀行頭取〉)。一方で窓口での口座開設や振り込みなどのサービスは、長期間利用できない。藤原会長は「お客さまへの案内が重要。事前の周知をしっかりやる」と強調した。

 また、経済産業省・中小企業庁と金融庁は、政府系金融機関や民間金融機関に対し、10連休で生じる中小企業の資金需要への対応を要請する。連休前の給与払い前倒しや、売掛金の回収などの入金が連休明けになることなどを想定し、事前に十分な資金繰りを手当てして混乱を防ぐ。

 証券業界では企業の決算発表の集中が懸念材料だ。東京証券取引所は上場企業に対し、決算期末から45日以内に発表することを求めている。3月期決算企業の場合、例年は5月10日前後に決算発表が集中する傾向にあり、今回も特定の日時に集中する懸念がある。日本取引所グループ(JPX)の清田瞭最高経営責任者は「関係者に聞き取りを行い、何らかの対応が必要か検討したい」としている。

 一方、連休明けの株式動向も注視が必要だ。日本郵政の長門正貢社長は27日の会見で、国内金融市場が休場となることについて、「GDP(国内総生産)第3位の日本が10日間、(金融市場が)動かない」ことで、海外の投機筋などが「いろいろゲームを仕掛けてくることは考えられる」と懸念を表明した。その上で、「変な影響が起きても、ポートフォリオに大きな毀損(きそん)がないよう手当てをしたい」と述べている。

10連休まであと2カ月

(文=特別取材班)

日刊工業新聞2019年3月1日

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葭本隆太
デジタルメディア局
ニュースイッチ編集長

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