米露"失敗"で注目されるJAXAの宇宙船
「こうのとり」5号機、16日打ち上げへ
**日刊工業新聞 社説から
国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送する日本の宇宙船「HTV(こうのとり)」が、世界から注目されている。ISSへの物資補給船は米国とロシアも運用しているが、両国の打ち上げは2014年10月以降、3回失敗している。対して日本のHTVの安全性への信頼は高く、8月16日に予定する「こうのとり5号機」は物資補給の面でも大きな期待を担っての打ち上げとなる。精緻なモノづくりで定評のある“日本力”を、次代の宇宙機開発に生かす好機としてほしい。
HTVは09年の初号機以来、これまでに4機を打ち上げてすべて成功している。通常、宇宙船の運用当初はトラブルがつきものだ。HTVの場合、宇宙船だけでなく輸送するロケットも新たに開発した国産大型ロケット「H2B」。宇宙船とロケットが同時にデビューするのは、日本の宇宙開発史上でも異例だった。
これを実現した背景には、日本の高度な技術とモノづくり力がある。その一つが「近傍通信システム」。HTVは従来の宇宙船と異なり、高度約400キロメートルの上空を毎秒8キロメートルという高速で飛行するISSの直下まで接近し、相対停止する。それからISSのロボットアームでHTVをつかみ、ドッキングさせる。こうした技術は世界で初めてだ。
この通信技術は米オービタルサイエンシズ社に供与され、同社の宇宙船「シグナス」に採用。米スペースX社の宇宙船「ドラゴン」にも類似技術が採用されるなど、日本発の技術が物資補給船の新たな“標準”となっている。
またHTVには「レートアクセス」という速達サービスがある。クリーンルームで組み立てる宇宙船の積み荷の変更や追加は難しいが、このサービスなら補給物資を打ち上げ直前に積み込める。こうしたキメ細かな技術が信頼性の向上につながっている。
米国のスペーシャトルが11年に退役したことで、ISSに大型機材(最大6トン)を輸送する手段はHTVだけになった。日本の宇宙技術をさらに進化させ、世界の期待に応えてもらいたい。
国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送する日本の宇宙船「HTV(こうのとり)」が、世界から注目されている。ISSへの物資補給船は米国とロシアも運用しているが、両国の打ち上げは2014年10月以降、3回失敗している。対して日本のHTVの安全性への信頼は高く、8月16日に予定する「こうのとり5号機」は物資補給の面でも大きな期待を担っての打ち上げとなる。精緻なモノづくりで定評のある“日本力”を、次代の宇宙機開発に生かす好機としてほしい。
HTVは09年の初号機以来、これまでに4機を打ち上げてすべて成功している。通常、宇宙船の運用当初はトラブルがつきものだ。HTVの場合、宇宙船だけでなく輸送するロケットも新たに開発した国産大型ロケット「H2B」。宇宙船とロケットが同時にデビューするのは、日本の宇宙開発史上でも異例だった。
これを実現した背景には、日本の高度な技術とモノづくり力がある。その一つが「近傍通信システム」。HTVは従来の宇宙船と異なり、高度約400キロメートルの上空を毎秒8キロメートルという高速で飛行するISSの直下まで接近し、相対停止する。それからISSのロボットアームでHTVをつかみ、ドッキングさせる。こうした技術は世界で初めてだ。
この通信技術は米オービタルサイエンシズ社に供与され、同社の宇宙船「シグナス」に採用。米スペースX社の宇宙船「ドラゴン」にも類似技術が採用されるなど、日本発の技術が物資補給船の新たな“標準”となっている。
またHTVには「レートアクセス」という速達サービスがある。クリーンルームで組み立てる宇宙船の積み荷の変更や追加は難しいが、このサービスなら補給物資を打ち上げ直前に積み込める。こうしたキメ細かな技術が信頼性の向上につながっている。
米国のスペーシャトルが11年に退役したことで、ISSに大型機材(最大6トン)を輸送する手段はHTVだけになった。日本の宇宙技術をさらに進化させ、世界の期待に応えてもらいたい。
日刊工業新聞 2015年07月17日 4面/07月29日 科学技術・大学面