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トラブル続きの解体工事業者、「絵に描いた餅」倒産

トラブル続きの解体工事業者、「絵に描いた餅」倒産

アスベスト除去にも実績があったが…(写真はイメージ)

 2015年に設立された解体工事業者のアクトは、鉄骨や鉄筋など建物全般の解体を主力に、アスベスト・ダイオキシン除去なども手がけていた。民間企業の元請け・下請け業者として、マンションやオフィスビルを中心に、住宅やアパート、工場なども対象とし、関東のみならず全国を商圏に営業展開。長年の経験や人脈を強みに案件を獲得し、16年5月期には売上高約3億7600万円を計上していた。

 しかし、その後は建築業界全体での仕事量減少に伴い、受注量は落ち込んでいった。加えて、取引先の倒産も重なり資金繰りが急速に逼迫(ひっぱく)。それでも、懇意にしていた元請け会社から、優先的に解体工事を発注してもらうなどの協力もあり、前期並みの売り上げを確保していた。

 17年7月頃からは、これまで継続して案件を受注してきた元請け会社において、その取引先からの売掛金の回収が遅延していた。

 また、アクトと同元請け会社との間でも、工事内容についてのトラブルが生じたため、同元請け会社からの受注を控えた。だが、補填先が見つからず受注量がさらに減少。保証を受けられず運転資金が枯渇し、従業員の給与などが遅延するようになっていた。

 その後も、見込んでいた大型工事案件で予定が延期された末に、最終的には失注。18年6月末頃からは、資金繰りについての信用不安も出回ったことで関係者からの信用を失い、同年11月に破産となった。

 設立当初から黒字計上を果たしていたが、取引先関連の支払い・契約トラブルに見舞われ、信用不安が表面化。それからわずか3年余りで事業停止にまで追い込まれた。

 取引先の経営状況など情報の把握・管理を怠ったが故の倒産。確実な事業計画を立て遂行するに当たり、得意先の状況を把握し管理できなければ、それは「絵に描いた餅」になるリスクがある。
(文=帝国データバンク情報部)
<企業概要>
(株)アクト
住所:東京都杉並区堀ノ内2―11―8
代表:平野直哉氏
資本金:500万円
年売上高:約3億3900万円(17年5月期)
負債:約1億1444万円
日刊工業新聞2019年2月19日

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