「オムニチャネル」を制するのはセブンか? アマゾンか?それとも・・
アマゾンフレッシュ、日本で展開へ
アマゾンジャパン(東京都目黒区)が、日本で生鮮食品などの宅配「アマゾンフレッシュ」の展開を検討していることが分かった。複数の関係筋によると国内の食品スーパーと提携し関東など一部地域からの開始を検討している模様だ。生鮮食品などの宅配参入では既存の非食品などの商品と合わせて配送する可能性も浮上、高コストを克服し一段と利便性が高まるとみられる。ネットスーパー展開企業にとどまらず、ネット通販企業にも脅威になりそうだ。
アマゾンジャパンは日本でのアマゾンフレッシュの展開を検討してきた。このほど埼玉県地盤の食品スーパーと提携交渉に入った模様。具体的なスキームは明確ではないが、アマゾンが埼玉県内に持つフルフィルメントセンター(商品の管理、ピッキング、配送拠点)を活用し、提携先のスーパーから生鮮食品や総菜などの供給を受ける方向で交渉している。
米国も日本同様、ネットスーパーで利益を出している企業は少ない。食品や日用品など高回転だが粗利益率の低い商品が中心のためだ。しかし、アマゾンのネット通販での取扱品目は相当数に上る。いわばアマゾンフレッシュにこうした低回転、高粗利益率の商品を合わせ配送すれば粗利ミックスで採算が向上する。アマゾンフレッシュの展開で一段と配送時間の短縮、顧客に近づく戦略とみられる。米アマゾン・ドット・コムが米国で展開しているアマゾンフレッシュはシアトルから対象地域を拡大している。
(日刊工業新聞2015年8月7日1面)
セブン&アイ・ホールディングスとファーストリテイリングが物流や販売、商品など包括的提携に向けた協議に入ったことが分かった。両社ともネットと実店舗を組み合わせた「オムニチャンネル」を今後の経営の柱に据えている。ファストリはセブンの店舗網を活用し、商品の受け取りや返品ができる体制を構築。セブンもファストリの商品・ブランド力を活用してセブン専用商品を開発すれば、ネットへの集客になる。ビッグネーム同士のタッグがネット時代の新しい枠組みを構築するかが試される。
年内にも実現を目指す今回の提携協議はセブンのインフラ活用が軸だ。ファストリは東京・有明に大和ハウス工業と大規模な物流センターの建設に着手。ネットで購入した商品の即日配送や店舗運営や在庫管理の改革をまず首都圏で着手する。
これに合わせ、ファストリは複数のコンビニと商品の受け取りで交渉を進めているとされる。受取場所を多様化させ、顧客の利便性を高めるにはセブンの店舗は絶対に外せないピース。セブンも全国1万8000店のコンビニ店舗を自社のネット通販の受け取り拠点化とするなどオムニのインフラ整備を始めている。提携でユニクロの商品が受け取れるようになれば、セブン自体の集客力も高まる。
「ネット通販時代は商品力がモノをいう」(大手シンクタンク)。ネット通販1兆円の売上高を目指すセブンはネットへの集客も高めたい。そのためバーニーズジャパンの完全子会社化、インテリア雑貨店を展開するバルスへの出資など、ネットや店舗に乗せる商品についても布石を打ってきた。
衣料品で国内最大の売上高があるファストリの商品力は抜群だ。ネットや店舗にセブン専用商品などユニクロの商品が乗れば強力な集客装置になる。相互の海外店舗を活用し、国内と同じような戦略の展開もありそう。
あるセブン&アイの関係者は「今回の提携は、セブン&アイの鈴木敏文会長とファストリの柳井正会長兼社長のトップ会談で決まった可能性が高い」と話す。かねて親交のあったセブンの鈴木氏とファストリの柳井氏がオムニを軸にして思惑が合致した格好だ。
しかし、その背景にはローソンがアマゾンと提携したり、楽天と提携に向けた最終調整に入ったという一部報道があるなど、「全カテゴリーを扱うネット企業と提携戦略を進めるローソンと違う”セブン流ネット戦略“を内外に示したかった思惑がある」(同関係者)という指摘もある。セブン、ファストリのタッグはどんなネット通販の絵姿をみせてくれるのか。
アマゾンジャパンは日本でのアマゾンフレッシュの展開を検討してきた。このほど埼玉県地盤の食品スーパーと提携交渉に入った模様。具体的なスキームは明確ではないが、アマゾンが埼玉県内に持つフルフィルメントセンター(商品の管理、ピッキング、配送拠点)を活用し、提携先のスーパーから生鮮食品や総菜などの供給を受ける方向で交渉している。
米国も日本同様、ネットスーパーで利益を出している企業は少ない。食品や日用品など高回転だが粗利益率の低い商品が中心のためだ。しかし、アマゾンのネット通販での取扱品目は相当数に上る。いわばアマゾンフレッシュにこうした低回転、高粗利益率の商品を合わせ配送すれば粗利ミックスで採算が向上する。アマゾンフレッシュの展開で一段と配送時間の短縮、顧客に近づく戦略とみられる。米アマゾン・ドット・コムが米国で展開しているアマゾンフレッシュはシアトルから対象地域を拡大している。
(日刊工業新聞2015年8月7日1面)
巨人同士の提携の狙いは?
日刊工業新聞2015年8月3日付
セブン&アイ・ホールディングスとファーストリテイリングが物流や販売、商品など包括的提携に向けた協議に入ったことが分かった。両社ともネットと実店舗を組み合わせた「オムニチャンネル」を今後の経営の柱に据えている。ファストリはセブンの店舗網を活用し、商品の受け取りや返品ができる体制を構築。セブンもファストリの商品・ブランド力を活用してセブン専用商品を開発すれば、ネットへの集客になる。ビッグネーム同士のタッグがネット時代の新しい枠組みを構築するかが試される。
年内にも実現を目指す今回の提携協議はセブンのインフラ活用が軸だ。ファストリは東京・有明に大和ハウス工業と大規模な物流センターの建設に着手。ネットで購入した商品の即日配送や店舗運営や在庫管理の改革をまず首都圏で着手する。
これに合わせ、ファストリは複数のコンビニと商品の受け取りで交渉を進めているとされる。受取場所を多様化させ、顧客の利便性を高めるにはセブンの店舗は絶対に外せないピース。セブンも全国1万8000店のコンビニ店舗を自社のネット通販の受け取り拠点化とするなどオムニのインフラ整備を始めている。提携でユニクロの商品が受け取れるようになれば、セブン自体の集客力も高まる。
「ネット通販時代は商品力がモノをいう」(大手シンクタンク)。ネット通販1兆円の売上高を目指すセブンはネットへの集客も高めたい。そのためバーニーズジャパンの完全子会社化、インテリア雑貨店を展開するバルスへの出資など、ネットや店舗に乗せる商品についても布石を打ってきた。
衣料品で国内最大の売上高があるファストリの商品力は抜群だ。ネットや店舗にセブン専用商品などユニクロの商品が乗れば強力な集客装置になる。相互の海外店舗を活用し、国内と同じような戦略の展開もありそう。
あるセブン&アイの関係者は「今回の提携は、セブン&アイの鈴木敏文会長とファストリの柳井正会長兼社長のトップ会談で決まった可能性が高い」と話す。かねて親交のあったセブンの鈴木氏とファストリの柳井氏がオムニを軸にして思惑が合致した格好だ。
しかし、その背景にはローソンがアマゾンと提携したり、楽天と提携に向けた最終調整に入ったという一部報道があるなど、「全カテゴリーを扱うネット企業と提携戦略を進めるローソンと違う”セブン流ネット戦略“を内外に示したかった思惑がある」(同関係者)という指摘もある。セブン、ファストリのタッグはどんなネット通販の絵姿をみせてくれるのか。