白神山地で息づく“マタギの掟”-厳しさで山の恵み守る
世界遺産登録で猟に支障。伝統文化を失う危うさ
1993年、屋久島とならび日本で初めて世界自然遺産に登録された白神山地には、ブナ林を中心とした豊かな自然が残されている。青森、秋田両県にまたがって残る原生的なブナ林は、約4万5000ヘクタール。そのうち中心部の約1万7000ヘクタールが世界遺産登録地域だ。
白神山地の麓、青森県西目屋村には1000年以上も前から、山の恵みで生活してきたマタギと呼ばれる人々がいた。白神の自然を知り尽くし、厳しい掟を守りながら、資源を守り伝えて、静かに暮らしてきた。
しかし現在では、高齢化、後継者不足などでマタギの伝統文化が失われそうになっている。工藤光治さんは15歳でマタギを継ぎ、50年以上、白神の山で暮らしてきた。マタギの伝統文化を継承する数少ないひとりだ。そんな工藤んからのメッセージ。
1957年、兄に熊狩りに連れて行ってもらってから、2013年に辞めるまでの約50年間、ほかの仕事はせずに山の仕事だけで暮らしてきた。約50年間で私が撃った熊は79頭になった。
4月末からわずかの間の熊狩りが終われば、ゼンマイ、フキ、ワラビ、タケノコなどの山菜採りなどをやる。雪が溶けると川の魚を捕まえたり、8月に入ればアユ、サクラマスをとったりする。9月になればマイタケが出てくる。ナメコ採りが11月の初めに終わって雪が降るころには、ノウサギ、山鳥などの猟が始まり、2月中旬には終わる。4月の熊猟が始まるまで少し休んで、山を静かにさせてから、また山に入る。
今はエコツアーガイドとして山へ入っている。白神山地が世界自然遺産に登録されてから、ブナを見にくる観光客が増えた。ブナだけではなく、ブナを守りながら暮らしてきた人たちのことも知ってもらうため、2000年に「白神マタギ舎」をつくった。マタギのルールはとても大事なことだということを伝えたい。
白神山地の麓、青森県西目屋村には1000年以上も前から、山の恵みで生活してきたマタギと呼ばれる人々がいた。白神の自然を知り尽くし、厳しい掟を守りながら、資源を守り伝えて、静かに暮らしてきた。
しかし現在では、高齢化、後継者不足などでマタギの伝統文化が失われそうになっている。工藤光治さんは15歳でマタギを継ぎ、50年以上、白神の山で暮らしてきた。マタギの伝統文化を継承する数少ないひとりだ。そんな工藤んからのメッセージ。
「私が撃った熊は79頭。マタギのルールはとても大事だと伝えたい」
1957年、兄に熊狩りに連れて行ってもらってから、2013年に辞めるまでの約50年間、ほかの仕事はせずに山の仕事だけで暮らしてきた。約50年間で私が撃った熊は79頭になった。
4月末からわずかの間の熊狩りが終われば、ゼンマイ、フキ、ワラビ、タケノコなどの山菜採りなどをやる。雪が溶けると川の魚を捕まえたり、8月に入ればアユ、サクラマスをとったりする。9月になればマイタケが出てくる。ナメコ採りが11月の初めに終わって雪が降るころには、ノウサギ、山鳥などの猟が始まり、2月中旬には終わる。4月の熊猟が始まるまで少し休んで、山を静かにさせてから、また山に入る。
今はエコツアーガイドとして山へ入っている。白神山地が世界自然遺産に登録されてから、ブナを見にくる観光客が増えた。ブナだけではなく、ブナを守りながら暮らしてきた人たちのことも知ってもらうため、2000年に「白神マタギ舎」をつくった。マタギのルールはとても大事なことだということを伝えたい。
工藤さんたちが白神山地の伝統的な生活文化とその基盤となる自然を保存・伝承するために2000年に設立。白神山地のガイド付きトレッキングツアーを提供する。ブナの森を満喫するコースやマタギ小屋に宿泊するコースなど、季節や体力に合ったコースを用意している。
日刊工業新聞2015年07月31日地球環境特集