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三菱自動車”終わりと始まり“の一週間

米国生産の撤退と東南アジア市場の深耕。グローバルの「集中と選択」は次のフェーズへ
三菱自動車”終わりと始まり“の一週間

左は相川社長。右上は新型パジェロスポーツ、右下はタイのテストコース


「タイ工場が常にトップを走る」


 三菱自動車が目下、ブランド再構築と並んで注力するのは東南アジアの事業基盤強化だ。米国生産終了による直接の影響はないが、フィリピンとインドネシアで相次ぎ新工場が稼働し、東南アジアがグローバルで果たす役割は大きくなっている。同地域の主要市場が低迷する中、「必ず回復すると信じて計画を進める」(相川哲郎社長)と意気込む。

 年産42万4000台のタイは三菱自にとって最大の生産拠点で、グローバルの輸出拠点でもある。ピックアップトラック「トライトン」や小型車「ミラージュ」、新型「パジェロスポーツ」などを生産・輸出する。現地法人ミツビシ・モーターズ・タイランド(MMTh)で開発を担当する野谷一博エグゼクティブバイスプレジデント(EVP)は、「タイ生産車は当社の柱。品質にぬかりがあってはならない」と気を引き締める。

 2015年にはラムチャバン工場近郊に海外で初めてのテストコースを開設した。まず量産前の品質確認を徹底する。開発者の増強も進めており、今年度内に100人超の体制(現在96人)とし、日本での教育機会をつくりながら技能を習熟させる。「やれることを増やし、タイ生産車の一部改良を現地で行えるようにしたい」(野谷EVP)という。

 フィリピンとインドネシアで新工場が稼働するが、タイ工場の位置づけはどうなるのか。北尾光教MMTh製造担当EVPは「タイが常にトップを走り、東南アジアのモデル工場にする」と話す。

 東南アジアでは、省人化の進む日本と同じモノづくりはできない。開発部隊と連携した新車立ち上げ時から生産を効率化し、バーツ高対策も含めてコスト競争力を高める。タイが取り入れるコスト改善策は他拠点でも応用しやすいはずだ。また「部品を内製しないと本当のノウハウは蓄積できない」(北尾EVP)とし、ここ数年で樹脂部品や板金、プレス部品のブランキング加工などを内製化している。

 一方、国内需要向けに車を生産するインドネシアとフィリピンも新しい取り組みが始まった。インドネシアでは17年に年産16万台の新工場を稼働し、「パジェロスポーツ」と新型の小型多目的車(MPV)、商用車を生産。パジェロスポーツは国内向けだが、MPVは輸出にも振り向ける。フィリピンでは「『ミラージュ』を生産する検討をしている」(相川社長)。

 東南アジアの役割が大きくなる中、グローバルで戦える現地の事業基盤づくりを急ぐ。
 (文=梶原洵子)
 ※「集中と選択、次の段階へ−三菱自動車」より
日刊工業新聞2015年08月06日/07日 自動車面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
10年来の課題が世界戦略車がない。アウトランダーではまだ役者不足。一本柱ができれば、米国工場もここまで迷走することはなかった。開発畑の相川社長時代に渾身のクルマを。

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