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稼動中の33棟はいずれも満床、野村不動産の中型オフィス戦略

ソフト面のサービスを充実へ
稼動中の33棟はいずれも満床、野村不動産の中型オフィス戦略

野村不動産はPMOで中型オフィス市場をリードする(PMO日本橋本町)

 野村不動産はシリーズ展開する中型オフィスビル「PMO(プレミアム・ミッドサイズ・オフィス)」で、ソフト面のサービスを充実する。事業規模が小さいスタートアップ企業の入居が多いことを踏まえ、新人研修や各種教育プログラム、テナント同士の交流イベントなどを展開。デザインや機能・防犯性に優れるハード面とあわせた付加価値として仕上げ、拡大する中型オフィス市場での競争力を引き上げる。

“場”を提供


 PMOは18年に開業10年を迎えた。稼働中の33棟はいずれも満床で、計画段階にある9棟のテナントもほぼ決まっている。今後は3年内に50棟を目指すと同時に、第2段階としてテナントのコミュニティー形成を後押しする。特に採用を含む人材育成に重きを置き、PMOの全テナントを対象とする定期イベントなどを検討。マンション開発で蓄積したコミュニティー形成のノウハウも活用する。

 また野村不動産グループが手がけるフィットネスクラブ「メガロス」と連携したスポーツ大会や、過疎化や少子高齢化で荒廃する農村に出かけて田植えや稲刈りを体験する催しなども仕掛ける。いずれも過去に人気を集めたイベントで、異なるPMOに入るテナント同士で交流が活発になる効果があった。テナントの要望や参加状況を見て、中長期でビジネスに結び付くような“場”を提供する。

信用力向上


 PMOは基準階の面積が40―200坪と規模は小さいものの、最新の大型ビルと同等の格式や機能を持たせたオフィスビル。同じフロアに複数テナントを置かない「ワンフロア・ワンテナント」設計で、従来は雑居ビルしか選択肢がなかったスタートアップ企業が主に入居している。企業イメージが高まり対外的な信用力向上につながったり、採用増や人材定着に役立つなどの好影響が出ている。

建て替えで普及


 中型のオフィスビルは足元で築20年以上が経過した雑居ビルが大半を占めており、野村不動産はこれらの建て替えニーズを捉えることでPMOを普及させる戦略を掲げる。主に東京・日本橋や京橋、神田のほか、新橋や渋谷、恵比寿、新宿などを重点エリアと位置付ける。

 同様の中型オフィスは新日鉄興和不動産が手がける「BIZCORE」のほか、大京や三菱地所も参入を計画している。
日刊工業新聞2019年2月8日

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