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<オピニオン>ANAがエアバスの超大型機を導入する日

<オピニオン>ANAがエアバスの超大型機を導入する日

2014年4月に初飛行したスカイマークのA380初号機(エアバスのプレスサイトから、PHOTO: P. Masclet, Master Films)


A380はANAが引き継ぐのか


 ここまで来て、未だに見えてこないのが、スカイマークが発注したA380は一体どうなるのかという点である。エアバスはスカイマークとの契約を解除したものの、既にスカイマーク向けの一部機材を製造し、飛行試験に入っていた。

 需要の大きいA320ならば代わりの買い手はすぐに見つかるが、A380となるとなかなか売れず(15年は未だ受注ゼロ)、生産終了の可能性も取りざたされている。エアバスにとって、スカイマーク(を支援するANA)がA380を引き取ってくれるかどうかという点こそ、最大の関心事だ。 

 導入は従来方針に逆行?

 しかし、ANAは昨年に機材更新の計画を固めており、次世代大型機「777X」を20機、現行大型機「777」6機、中型機「787」14機を導入することを発表している。これらはすべてボーイング機。エアバス機の導入は小型機の「A320ネオ」シリーズの計30機に限られる。これまでボーイング機中心の大型機戦略を描いていたANAにとって、A380を導入する余地は小さい。

 それでも今回、エアバスがANAによる支援案に賛同したことは、ANAからエアバスに対して機材面で何らかの「提案」があったとみるのが自然だろう。

 8月5日の会見で、ANAはスカイマークの債権者であるエアバスや航空エンジンメーカーの英ロールス・ロイスらと「具体的な約束はしていないが、長期的な機材更新の計画の中で将来の可能性は議論した」(長峯豊之取締役執行役員)とした。A380を導入する可能性を排除しなかったわけである。

 2010年のA380導入に関する基本合意から5年。スカイマーク破たんにも発展したA380に対して、支援元に決まったANAはどんな判断を下すのか。
 (文=杉本要)
ニュースイッチオリジナル
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
スカイマークが発注し、既にエアバスが製造してしまったA380の行く末について、考えました。

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