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「トラック無人隊列走行」に特化した初の保険、何を補償する?

三井住友海上とあいおいニッセイが開発
「トラック無人隊列走行」に特化した初の保険、何を補償する?

官民で進む実証を後押しする

 三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、トラックによる「後続車無人隊列走行」に特化した自動車保険を業界で初めて開発した。無人の後続車が高速道路で立ち往生した場合、道路は通行不能になり管理者に営業損害が生じる可能性がある。この損害に対するトラック所有者の賠償責任を無制限に補償する。立ち往生した無人車両の移動にも30万円まで保険金を支払う。後続車の無人隊列走行は2022年の商業化を目指し、官民共同で実証実験が進む。参画企業に手厚い補償を提供し、実験を後押しする。

 月内にも技術開発で参画する企業に提案を始める。無人隊列走行の商業化を見据えつつ最適な保険料や付帯サービスなどを検討し、最終的に事業主体となる大手の物流企業に提供したい考えだ。

 無人隊列走行は先行する手動運転の車両と後方の無人車両を通信でつなぐ技術。無人車両は先行車両の制御情報を受信し、自動で加減速して車間を保つ。車線変更も行える。一方、装置故障や通信障害などで先行車両との接続が途絶えると、無人車両は立ち往生する可能性がある。

 通常の自動車保険は立ち往生など物損を伴わない場合、道路の管理者が被った営業損害は補償できない。このため専用の特約を新設して、これを補償対象とした。立ち往生した無人車両の移動にかかる費用も専用の特約で補償する。無人車両が対人や対物事故を起こした場合は、これまで通り主契約の自動車保険で補償する。

 経済産業省などから委託を受けた豊田通商や自動運転技術ベンチャーの先進モビリティ(東京都目黒区)などは22日、新東名高速道路で実証試験を開始。無人隊列走行は物流業界の人手不足の解決策として期待が高まる。
日刊工業新聞2019年1月25日

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