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ジーエス・ユアサ社長、全固体で電池の世界は一気に変わる

村尾修氏「次期中計はリチウムイオン電池関連投資増やす」
 ―2019年4月から3カ年の次期中期経営計画が始まります。
 「現中計でリチウムイオン電池事業の営業損益を黒字化した。国内外の顧客から引き合いが増えている。電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、HV用に加え、車の始動用リチウムイオン電池も19年8月から量産し、手薄だった欧州系メーカーを開拓する。一方、EV、PHV用と同様、HV用も複数社への供給になりそうだ。需要が急増し、次期中計はリチウムイオン電池関連向け投資を増やす」

 ―車載用鉛電池への投資にも積極的です。
 「アフリカや南米、中東のほか、アジアのメコン川流域の各国を中心に25年頃まで鉛電池市場は伸びる。タイの工場は設備増強が完了し、中国・天津市とトルコの工場も、21年の完成予定で増強中だ。未開拓の南米は次期中計の課題。単独で鉛電池工場は作らず、現地企業への出資や協業などを考える」

 ―次世代電池などへの取り組みは。
 「多様な電池開発に取り組んでいるが、本命は全固体電池だろう。オールジャパンの開発に参画するほか、自社でも手がけ、20年代半ばに投入したい。安全で設計自由度が高く電池の世界は一気に変わる。リチウムイオン電池は家庭用太陽光発電の自家消費向けもターゲットの一つ。今は電池モジュール供給までだが、蓄電システムや制御ソフトウエアの開発にも取り組む」

(聞き手=松中康雄)

ジーエス・ユアサコーポレーション社長の村尾修氏


【記者の目/車載以外の受注に期待】
 地道な生産改善により、リチウムイオン電池事業を黒字化した。モノづくり企業にとって改善は永遠のテーマ。IoT(モノのインターネット)導入や予知保全を進めて生産性を高め、さらなる利益改善にも挑む。車載以外は、風力発電向けの大型受注を獲得した。潜水艦向けの追加受注、航空機用の交換需要もあり期待できる。(京都・松中康雄)
日刊工業新聞2019年1月23日掲載

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