少額出資でベンチャー創業、軌道に乗る神戸大

STEと連携

STEの投資先ベンチャーのラボが入る神戸医療イノベーションセンター(神戸市中央区、STE提供)
 神戸大学と科学技術アントレプレナーシップ(STE、神戸市灘区、三宅秀昭社長、078・871・4441)による、少額出資での大学発ベンチャー(VB)支援の仕組みが軌道に乗ってきた。全遺伝情報(ゲノム)編集のバイオパレット(神戸市灘区)は資本金280万円での起業後、米投資信託会社と米大手ベンチャーキャピタル(VC)で計5億円超の出資を獲得した。支援4社目も1月中にも立ち上げる。地方・中小規模の国立大学でも、資金提供なしで可能な手法として注目される。

 神戸大スキームでは、バイオ工学に強く起業に積極的な大学院科学技術イノベーション研究科を活用する。民間資金が得にくい当初は、同研究科の発明者とSTEの少額出資でVBを設立。STEは“シードアクセラレーター”として事業や知的財産、財務など戦略立案しVBの価値を高めて民間資金を呼び寄せる。

 ゲノム合成のシンプロジェン(同)は発明者前任が慶応義塾大学関連で、慶大発ベンチャーが1億円の出資を行った。またウイルス安全性評価機関のバイスポット(神戸市中央区)は、大手事業会社から4億円弱を獲得した。さらに微細藻類を扱うアルジー・ネクサスの設立を準備中だ。

 大学は資金を用意せずSTEに協力し、VB成功時の利益はSTEから寄付の形で受け取る。これに向けて間に入る一般社団法人の基金を、教職員や事業会社で設立。基金がSTEに出資し、基金の理事に大学の理事が就くなどの仕組みを整えている。

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日刊工業新聞2019年1月17日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

大学発ベンチャー(VB)に向けたベンチャーキャピタル(VC)を持ちたいと思う大学は多い。民間VCの出資は、創業前後の先行き不明の大学発VBに向けては難しく、このもっとも最初の支援が欠けているためだ。国立大学はいずれも、VCを子会社として持つことが可能になっているが、政府出資金が用意された東大など4国立大以外は、実質問題として難しい。神戸大スキームは、一般社団法人の基金という比較的、容易な設計を通じて、実際に高い成果を挙げている。他の地方・中小規模大学の参考になるだろう。

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