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競争激しいドラッグストア、生き残りへ「九州」からのヒント

JR九州ドラッグイレブン・今林泰社長インタビュー
 流通業界で存在感を示すドラッグストア。JR九州ドラッグイレブン(福岡県大野城市、今林泰社長、092・583・3100)は九州を地盤に調剤薬局を含め220店舗以上を展開している。2017年には東京に進出し、現在3店舗を持つ。競争の激しい業界で今後どう取り組むのか今林泰社長に聞いた。

―業界動向をどう見ていますか。

「大手が出店を加速し売り上げを伸ばしている。大手の占有が進むだろう。その中で弊社のような売り上げ500億円程度の中堅は競争が激しくなる。差別化に取り組む必要がある」

―差別化が難しい業界ですが方策は。

「一つに鉄道会社のグループであることが生かせる。訪日外国人(インバウンド)が購入する量の伸びは鈍化しているが、日常品を中心に一定量はある。外国人向け乗車券『レールパス』と一緒にクーポン券を配布している。旅行代理店との連携も検討している」

―都内の出店についての考えは。

「物流効率やマネジャーが担当するエリアを考えると、最低10店舗が成立するユニットとして捉えている。現在は出店数が少ないが高値づかみしてまで出店する必要はない。私たちは一人一人のお客さまと向き合うことを大切にしている。安く大量に販売するより適正な値段設定でロイヤルカスタマーになってもらいたい」

―顧客対応ではカウンセリングを強みに挙げています。

「健康のニーズは高い。ヘルスケアリーダーを店舗に1人、アドバイザーをエリアに1人配置している。化粧品や医薬品について年齢や季節などに合った商品を勧められる。ひいては地域の健康づくりにつながる。ただ、東京は人口が多く来店者も多い。九州と全く同じとはいかない」

―働き方改革と業務の効率化が求められます。

「パートの方に長く働いていただくにはスキルの取得など時給以外のやりがいが必要。当社には30年以上のベテランもいて、その方と話すために来店されるお客さまもいる。業務効率でも現場から案を応募してもらい深掘りすることで水平展開していく」
(文=西部・増重直樹)
今林泰社長
日刊工業新聞2018年12月28日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
【記者の目/カウンセリングと好相性】 セルフメディケーション税制や地域包括ケアシステムの構築推進など個人や地域で健康を管理する重要性が高まっている。医薬品を適切に利用してもらうための取り組みには専門知識が必要で、同社が強みとするカウンセリングと相性が良い。安心感を与える顔なじみの店員がいることも大きな力になる。(西部・増重直樹)

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