ケーブル最大手も参入、AIスピーカーテコにホームIoTは普及するか?
ジュピターテレコムが2019年7月にも開始
ジュピターテレコム(JCOM)は、IoT(モノのインターネット)を活用し、家庭内の多様な機器をスマートフォンなどで操作できる「ホームIoT」事業に参入する。人工知能(AI)スピーカーと連携し、音声で家電を操作できるサービスを2019年7月にも提供する。将来的には通信端末を鍵として利用する「スマートキー」も加える予定。同社はケーブルテレビ(CATV)最大手だが人口減や動画配信事業者の台頭で市場は厳しさを増す。新事業に参入し次の成長の柱に育てる。
JCOMのホームIoTサービスは家電メーカーなど多様な企業と連携して提供する。利用料金は今後詰める。ホームIoTは「エアコンや照明をつける・消す」といった家庭内のあらゆる家電を遠隔操作できる。
一方、対応した家電とのセットアップなどユーザーにとっては煩雑な作業が必要となる。JCOMはCATV事業で顧客の自宅を訪問し営業や接続工事を手がける従業員を抱えている。強みとする「地域密着」の体制を生かし、従業員が訪問先で機器の初期設定作業などを行うサービスも提供する。手厚いサポートで差別化を図る。
JCOMの親会社であるKDDIはすでにホームIoTサービスを提供している。JCOMは連携する家電メーカーなどはKDDIのプラットフォームも活用するとみられる。
JCOMは電力小売りサービス「JCOM電力」を提供しているほか、19年には関東エリアで「JCOMガス」を販売する。電力やガスなどの利用状況や月額料金の確認などにも生かせそうだ。
人工知能(AI)スピーカーの登場を機に市場の拡大が期待されるサービスがある。外出先から家電の制御などができる「ホームIoT(モノのインターネット)」だ。AIスピーカーと連携することで家電の音声操作などが可能になり、利便性が高まる。ホームIoTサービスの事業者はAIスピーカーとの連携による機能向上を喧伝しており、今話題のデバイスという宣伝効果も相まって鼻息が荒くなっている。
「あなたの声でインテリジェントホームが動きだす」―。東京都渋谷区の東急百貨店東横店の一角。ケーブルテレビ大手のイッツ・コミュニケーションズ(イッツコム、東京都世田谷区)がホームIoTサービス「インテリジェントホーム」の広報・宣伝用に構えた特設ブースの中心に、米グーグルのAIスピーカー「グーグルホーム」がある。話題のデバイスで消費者を足止めする狙いが透けて見える。
イッツコムと共同でインテリジェントホームを展開するコネクティッド・デザイン(同区)の新貝文将副社長は「AIスピーカーとの連携は(ホームIoTの)認知度を向上させ、市場を盛り上げてくれる」と期待する。
インテリジェントホームは2015年に提供を始めた。スマートフォンによる家電制御のほか、センサーと連携して遠隔から子どもやペットの見守りができるサービスなどとして紹介している。しかし「欲しくてしようがないサービスにはなっていない」(武田浩治イッツコム執行役員)のが現状だ。需要の喚起には認知度の向上が不可欠で、AIスピーカーとの連携による宣伝はうってつけというわけだ。また、北米ではホームIoTとの連携により、AIスピーカーの利用頻度が高まる傾向もあるという。
KDDIも今夏に提供を始めたホームIoTサービス「auホーム」について、対応デバイスなどを11月に拡充した。AIスピーカーの登場に合わせた格好だ。KDDIの山本泰英執行役員常務は「グーグルホームとの連携により、家が会話するようになる。声でエアコン制御ができる」と魅力を強調する。
ただ、ホームIoTの普及は話題のデバイスとの連携だけではおぼつかない。このためイッツコムやKDDIは販路拡大などを目的に、幅広い企業との連携を重視する。イッツコムは他のケーブルテレビ事業者や住宅メーカーなど約50社と連携した販売体制を構築しており、さらに連携を拡大する構え。KDDIもauホームのプラットフォームを活用し、多様な企業とサービスを共同で開発する体制を18年1月中にも整える。
「ホームIoT」は、まだ市民権を得ていない。ビジネスとして成長させるには市場全体を盛り上げる必要がある。そのため話題のデバイスとの連携による認知度向上の効果と、幅広い企業との連携体制の整備がカギを握りそうだ。
JCOMのホームIoTサービスは家電メーカーなど多様な企業と連携して提供する。利用料金は今後詰める。ホームIoTは「エアコンや照明をつける・消す」といった家庭内のあらゆる家電を遠隔操作できる。
一方、対応した家電とのセットアップなどユーザーにとっては煩雑な作業が必要となる。JCOMはCATV事業で顧客の自宅を訪問し営業や接続工事を手がける従業員を抱えている。強みとする「地域密着」の体制を生かし、従業員が訪問先で機器の初期設定作業などを行うサービスも提供する。手厚いサポートで差別化を図る。
JCOMの親会社であるKDDIはすでにホームIoTサービスを提供している。JCOMは連携する家電メーカーなどはKDDIのプラットフォームも活用するとみられる。
JCOMは電力小売りサービス「JCOM電力」を提供しているほか、19年には関東エリアで「JCOMガス」を販売する。電力やガスなどの利用状況や月額料金の確認などにも生かせそうだ。
日刊工業新聞2018年12月25日
サービス普及はAIスピーカーがカギ握る?
出典:日刊工業新聞2018年12月12日
人工知能(AI)スピーカーの登場を機に市場の拡大が期待されるサービスがある。外出先から家電の制御などができる「ホームIoT(モノのインターネット)」だ。AIスピーカーと連携することで家電の音声操作などが可能になり、利便性が高まる。ホームIoTサービスの事業者はAIスピーカーとの連携による機能向上を喧伝しており、今話題のデバイスという宣伝効果も相まって鼻息が荒くなっている。
「あなたの声でインテリジェントホームが動きだす」―。東京都渋谷区の東急百貨店東横店の一角。ケーブルテレビ大手のイッツ・コミュニケーションズ(イッツコム、東京都世田谷区)がホームIoTサービス「インテリジェントホーム」の広報・宣伝用に構えた特設ブースの中心に、米グーグルのAIスピーカー「グーグルホーム」がある。話題のデバイスで消費者を足止めする狙いが透けて見える。
イッツコムと共同でインテリジェントホームを展開するコネクティッド・デザイン(同区)の新貝文将副社長は「AIスピーカーとの連携は(ホームIoTの)認知度を向上させ、市場を盛り上げてくれる」と期待する。
インテリジェントホームは2015年に提供を始めた。スマートフォンによる家電制御のほか、センサーと連携して遠隔から子どもやペットの見守りができるサービスなどとして紹介している。しかし「欲しくてしようがないサービスにはなっていない」(武田浩治イッツコム執行役員)のが現状だ。需要の喚起には認知度の向上が不可欠で、AIスピーカーとの連携による宣伝はうってつけというわけだ。また、北米ではホームIoTとの連携により、AIスピーカーの利用頻度が高まる傾向もあるという。
KDDIも今夏に提供を始めたホームIoTサービス「auホーム」について、対応デバイスなどを11月に拡充した。AIスピーカーの登場に合わせた格好だ。KDDIの山本泰英執行役員常務は「グーグルホームとの連携により、家が会話するようになる。声でエアコン制御ができる」と魅力を強調する。
ただ、ホームIoTの普及は話題のデバイスとの連携だけではおぼつかない。このためイッツコムやKDDIは販路拡大などを目的に、幅広い企業との連携を重視する。イッツコムは他のケーブルテレビ事業者や住宅メーカーなど約50社と連携した販売体制を構築しており、さらに連携を拡大する構え。KDDIもauホームのプラットフォームを活用し、多様な企業とサービスを共同で開発する体制を18年1月中にも整える。
「ホームIoT」は、まだ市民権を得ていない。ビジネスとして成長させるには市場全体を盛り上げる必要がある。そのため話題のデバイスとの連携による認知度向上の効果と、幅広い企業との連携体制の整備がカギを握りそうだ。