三菱重工のユニキャリア買収へ導いた“2人の影の主役”
前ユニキャリア社長と現ルネサスCFOの連携が「最高のディール」生む
買収を正式発表。当面、2社の経営統合は考えず
三菱重工業とニチユ三菱フォークリフトは、フォークリフト大手ユニキャリアホールディングス(東京都品川区)を買収すると正式発表した。株主の産業革新機構、日立建機、日産自動車から全株式と新株予約権を1100億円超で12月30日に取得することで合意。取得割合は三菱重工が65%、ニチユ三菱が35%。ニチユ三菱とユニキャリアHDは当面経営統合せず、開発・生産などで連携し、シナジーを模索する。
ニチユ三菱、ユニキャリアHDは双方の生産拠点、販売網を有効活用するなどし、事業規模拡大を目指す。三菱重工とニチユ三菱は株式取得の準備委員会を立ち上げ、今後の戦略を練る。
2社の経営統合の目標時期は現時点では定めない。三菱重工の小口正範常務執行役員は「早急な統合はシナジーを消してしまう恐れがある。最大限発揮するために慎重に検討する」として、2社の連携に時間をかけて取り組む方針を示した。
三菱重工、今期のフリーキャッシュフロー見通しを「ゼロ」に修正
三菱重工業は2016年3月期のフリーキャッシュフロー見通しについて、前回予想の1000億円からゼロ(15年3月期386億円)に修正した。「ユニキャリアホールディングスの株式取得を織り込んだ」(小口正範取締役常務執行役員)ため。16年3月期連結業績見通しは前回予想から据え置いたが、営業利益のうち「エネルギー・環境」セグメントを1850億円から1700億円に下方修正した一方、「交通・輸送」セグメントを300億円から450億円に上方修正した。
「交通・輸送」については、円安効果に加えて米ボーイング向け機体製造の生産効率化によるコストダウン効果や「商船事業が液化天然ガス(LNG)運搬船を中心に安定推移し、改善がみられる」(同)という。一方、15年4―6月期に「エネルギー・環境」で納入済みプラントの不具合対策費用を計上。関西電力の姫路第二発電所の蒸気タービンで発生したトラブルに起因するもので、原因を調査中だ。
日刊工業新聞2015年08月03日 1面&機械・ロボット・航空機面