セラミックス応用市場が活気を帯びてきた

積層造形を本格化など

 耐熱や耐食、耐薬品などの特性を備えたセラミックスを材料に使用した積層造形(AM)の市場が活気を帯びてきた。新東工業はセラミックス専用3Dプリンターの国内販売を本格化。航空・宇宙や半導体製造装置などの分野を中心に需要を開拓する。写真化学(京都市中京区)も10月に事業子会社を設立した。中空構造や複雑形状の部品も製造できるAMの活用で、セラミックスの応用範囲がさらに広がりそうだ。

 一般的にセラミックスの積層造形は、光硬化性樹脂とセラミックス粉末の混合材料を使う。設計データに基づいて同材料に光を照射し、1層ずつ造形。積層終了後、樹脂を除去する脱脂工程や高温加熱し焼結体にする焼成工程を経て完成する。

 新東工業は2017年12月にフランスのセラミックス3Dプリンターメーカー、3Dセラムを子会社化した。日本ではセラミックス事業子会社の新東Vセラックス(愛知県豊川市)が窓口となり、装置や材料の販売と顧客サポート、同プリンターによる試作・受託製造サービスを展開する。プリンター本体と脱脂・焼成炉などの周辺装置を含む価格は1億円強を想定。まず年数台の販売を目指す。

 現行機種の有効造形エリアは最大で幅300ミリ×奥行き300ミリ×高さ100ミリメートル。「他社も含めて世界最大級だが、さらなる大型化も進めている」と新東Vセラックスの高山敬社長は説明する。アルミナやジルコニアなど6種類のセラミックス材料に対応。19年春までにさらに2、3種類追加する予定だ。

 一方、写真化学は、セラミックス3Dプリンターに関する大阪大学との共同研究成果の事業化を目指し、新会社エスケーファイン(滋賀県草津市)を18年10月に設立。翌月には阪大傘下のベンチャーキャピタルから7800万円の出資を受け、事業を加速する。

 セラミックス3Dプリンターで日本勢の競合相手となるのは、オーストリアのリソツや、オランダのアドマテック、仏プロドウェイズなどの海外メーカーだ。新東Vセラックスの高山社長は「単に装置を売るだけでなく、造形物の変形を制御して割らずに焼結するノウハウなど、当社がこれまで培った知見も提供していきたい」と、差別化に向けた戦略の一端を明かす。

 大学などの研究現場では、積層造形と最終焼結を同時に行い、後工程を省略する技術の開発も進む。日本では内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環で、産業技術総合研究所や阪大などの研究グループが技術開発に挑んでいる。積層造形の分野は樹脂や金属が先行しているが、こうした産学官の先端技術開発の動きも、セラミックス積層造形の普及を後押ししそうだ。
(文=斉藤陽一)

日刊工業新聞2018年12月17日

  

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