印刷インクの販売、出版用は低調だが・・・

販売6・3%減、用途・地域で明暗が別れている

 新聞や雑誌の発行部数減のあおりを受け、出版用インクの需要は依然として縮小傾向にある。経済産業省がまとめた生産動態統計によると、9月の印刷インクの販売数量は前年同月比6・3%減の3万757トン、うち新聞インキは同7・3%減の2840トンだった。

 一方で、食品やペットボトルのラベルなどのパッケージ用途のインキは安定した需要が見込める状況だ。国内では小売りのプライベートブランドなどの好調、新興国では人口増や生活水準の上昇が追い風となっている。

アジア需要堅調


 印刷インクで世界トップシェアであるDICのプリンティングインキの2018年1―9月期業績は、日本では減収、営業減益と不調だった。アジア・オセアニアでは原料価格上昇が響き営業減益だったが、売上高は伸びた。アジアでは依然として、出版用インキの需要が堅調だという。

 米州・欧州では増収、営業増益だった。パッケージインクが好調だったほか、紙幣や印紙、パスポートなどの偽造防止用途に使用される、セキュリティー印刷用インクの売り上げ増も寄与している。

環境規制に懸念


 業界の足元の懸念材料は中国の環境規制強化だ。工業団地内に法律を違反している事業所があった場合、連帯責任として団地全体の事業所が操業停止となる場合がある。定期監査で操業停止を余儀なくされる場合もある。

 東洋インキSCホールディングスは環境規制に対応し、天津工場の溶剤系インキ生産を、上海工場に統合した。業界関係者からは「これ以上、中国で投資するのは厳しい」との声も聞かれる。

 環境規制の影響で顔料や樹脂原料の供給量が世界的に減少し、価格が急騰している。原油価格や輸送費の上昇も生産コストに響いている。

 東洋インキや大日精化工業、サカタインクスは4月に、グラビアインクの価格を引き上げた。ただ「出版業界などが苦戦している中、値上げの理解を得るのは難しい。効果が出るには時間が掛かるのではないか」(関係者)という状況だ。
          

日刊工業新聞2018年12月12日

  

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