需給ギャップ続く日本の造船業、どこへ向かう

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三井E&S造船、中国・揚子江船業、三井物産の調印式(10月11日)
 日本の造船業はどこに向かうべきか。2018年は本質を問われる1年になった。世界の新造船建造量は08年のリーマン・ショック後の発注の落ち込みとその後の海上荷動きの低迷により供給過剰の状態が続く。供給能力と建造需要には4割近くのギャップがあるとみられ、船価上昇の足かせにもなっている。

 日本は無理な受注を極力避けた結果、国別受注シェアは23%(13―15年)から13%(16―18年)に下落。一方、韓国がシェアを29%(13―15年)から38%(16―18年)に高めた。

 1ドル=110円超の為替水準ならコスト競争力に大きな差はない。にもかかわらず、韓国がシェアを伸ばしたのは自国造船所への大々的な公的支援を実施したためだ。

 韓国造船大手は2―3年前、資源掘削船など海洋プラント工事の生産混乱で巨額の損失を被った。建造量世界3位の大宇造船海洋は1兆円を超える公的金融支援を受けたもよう。赤字受注を容認するような支援スキームも設定し、不振企業の延命を図った。

 6月、日本造船工業会の加藤泰彦会長(三井E&Sホールディングス相談役)は「世界貿易機関(WTO)提訴に向けてしっかりと対応して頂きたい」と声を上げた。日本政府の対応は早く、11月にWTO協定に基づく2国間協議を要請した。

 著しい低船価での受注をけん制する意味は大きい。ただ、需給ギャップという抜本的問題は解消されない。

 三井E&S造船(東京都中央区)の動きに一つの答えがある。5月、フィリピンに造船所を持つ常石造船(広島県福山市)との提携を発表。10月に中国・揚子江船業(江蘇省)、三井物産と合弁会社を設立することを決定。国内では三菱重工業と護衛艦建造で組む。

 膨大な中国のエネルギー輸送需要を取り込み、成長する東南アジア市場を開拓。安全保障分野を軸に国内事業を伸ばす戦略だ。造船事業のビジネスモデルを本質的に転換するものであり、19年はその成否に注目が集まる。
(編集委員・鈴木真央)

日刊工業新聞2018年12月11日

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