安川電機の次世代モーター工場、データの生かし方に注目せよ

 安川電機は工場の稼働データを活用した生産支援サービスに乗り出す。サーボモーターの基幹工場にデータの収集が可能なソフトウエアを導入して人工知能(AI)などで解析。設備の故障予知や工数の削減などにより、従来と比べ生産効率を3倍に高めた。同工場をデータ活用の効果を顧客と検証する場としても利用。モーターや産業用ロボットなど生産ラインの核となる自社製品のデータ活用事例を合わせて提案し、主力製品の拡販につなげる。

 安川電機は入間事業所(埼玉県入間市)に次世代工場「安川ソリューションファクトリ」を新設し、10月に稼働した。投資額は約30億円。サーボモーターやアンプを生産し、両製品合計の生産能力は月10万台。両製品合わせて約1000種の機種をつくり分ける。

 ロボットなどを活用して各工程の自動化を推進。データの収集や解析が可能な独自のソフト「YASKAWAコックピット」を導入し、生産状況を“見える化”する。集めたデータはAIで分析。ロボットの減速機や装置のボールネジといった基幹部品の故障を予知し、工場のダウンタイム(操業停止時間)をゼロに近づける。またこれまで人が手がけてきたエンコーダーの同芯調整作業を自動化。データ解析により生産性を高めることで工数を従来比約45%削減し、人手による生産のバラつきも抑えた。

 こうしたデータ活用の特徴について熊谷彰執行役員は「モーターをセンサーのように活用して多様なデータが取れるところ」と指摘する。例えばモーターの電流やトルクなどのデータを収集分析することで、モーターを搭載した装置やロボットの細かな動きの把握が可能。また装置が動く起点となるモーターのビッグデータ(大量データ)解析により、生産工程の効率化や装置の性能向上などを実現できる。

 安川電機は半導体製造装置や工作機械の精密な位置決めなどに使われる高精度なサーボモーターを手がけ、世界シェアは20%弱の1位。ロボットやインバーターのシェアも高く、同社製品を核に「生産に関する大概のデータを取得できる」(熊谷執行役員)。

 こうした実績やモノづくりのノウハウとともに安川ソリューションファクトリを活用。同社のモーターを搭載する装置メーカーや、装置を使う工場などのエンドユーザーと連携し、装置の性能向上や工場の生産効率化を達成する中で、自社製品の訴求力を高める。
(文=西沢亮)

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日刊工業新聞2018年12月4日

  

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