高級路線から低価格帯へ、住宅設備各社の東南アジア戦略に変化

ボリュームゾーンの取り込みに向けて研究・開発、人材育成などを強化

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インドネシアにあるYKK APのR&Dセンターの実験棟
 住宅設備各社が東南アジアでの戦略を高価格帯商品から汎用品での需要深耕にシフトしている。YKK APは8月、インドネシアに研究開発拠点を開設。需要拡大が見込まれる住宅団地向けに窓の研究を進める。三和ホールディングス(HD)もベトナムでドアなど汎用品市場の拡大を目指す。高価格帯のみでは市場規模が限られるため、ボリュームゾーンである汎用品市場の取り込みを狙う。

蒸暑地域に対応


 YKK APの堀秀充社長は「アジアでは普及品の拡大が課題だ」と強調する。蒸暑地域に適した窓を開発するためにインドネシアのタンゲラン県に「R&Dセンター」を設置した。富山県、ドイツに次ぐ3カ所目の研究開発拠点だ。インドネシアは暑く湿度の高い気候に加え、昼と夜の寒暖差も激しい。欧州とは異なる観点で省エネ構法や通風の調査研究を進める。今後インドネシアでは住宅団地の増加を見込み、大衆向けの普及品市場の取り込みを狙う。メードインジャパン品質を保ちながら、どう低コストで展開できるかを模索する。

手本は親会社


 堀社長が手本にするのが、ファスナーの製造販売を手がけるYKKだ。YKKは高機能・高価格帯のファスナーを強みとする一方、ファストファッションをはじめ汎用品の量的拡大を最大の目標に掲げている。2019年1月にもインドでジーンズ向けの低価格ファスナーを投入する。堀社長は「富裕層向けの高級品だけでなく、一般の人からも使いたいと思われる商品でなければならない」と普及品拡大を今後のテーマに据える。

現地人材育成


 三和HDも東南アジア市場でのさらなる収益拡大を目指し、戦略を変えつつある。これまで主に高級品市場で商品を展開していたベトナムでは、価格を抑えた汎用品市場に狙いを定める。ベトナムは経済成長が続き、建材の需要も高まっていることから、商品を拡充することで、事業規模の拡大を目指す。中でも現地企業の需要取り込みがカギを握っており、現地の市場にいかに食い込むかが今後の課題となる。

 グローバル事業部門アジア事業部の佐藤琢磨事業部長は「ローカル市場でうまくやっていくにはローカルマネジメントが欠かせない。現地の人材による商品開発などが求められている」と話す。現地スタッフを日本で研修するなど人材育成にも力を入れる。10月にはシンガポールに市場調査のための事務所を設置するなどアジア事業に攻勢をかける。
(文=高島里沙)

日刊工業新聞2018年11月30日

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