顧客とつながれ、家電のネット接続に奮闘する電機メーカー

シャープとパナソニック、体験イベントや実証実験

 シャープとパナソニックの総合家電2社が顧客に家電をインターネット接続してもらおうと、接続率の向上に向け奮闘している。IoT(モノのインターネット)対応の家電が相次ぎ発売される中、ネットに接続してもらわないと真価を発揮できないからだ。シャープはIoT家電を体験できるイベントを始めた。パナソニックもネット回線がない家庭でも家電をネット接続できるよう、実証試験に乗り出した。

 人工知能(AI)により音声対話できる液晶テレビに「おすすめ料理は?」と質問すると、サツマイモを使った秋の料理を提案する。同時にオーブンレンジでは調理方法のデータがダウンロードされる。シャープはこうしたIoT家電の機能を体験できる場として、液晶テレビやオーブンレンジ、エアコンなどを積んだトラックを使い全国各地で、体験イベントを開いている。

 同社はすでに10分野150点の製品がIoT・AIに対応。レンジなどのネット接続率は70%と高く、「顧客からIoTやAIの価値が認められつつある」(長谷川祥典専務執行役員)と手応えを口にする。一方、エアコンの接続率は25%にとどまる。体験イベントを通じ、エアコンをネット接続すると生活習慣を学習して効率運転できるメリットなどを訴求する。現状、IoT家電全体の接続率は40%。「2020年度に70%へ引き上げたい」(同)とする。

 パナソニックは「21年度までに全分野の家電を『知能化』する」(本間哲朗専務執行役員)方針。家電のIoT・AI対応を加速する一環で、NTTドコモやソフトバンクと提携した。消費電力が少なく広域に無線通信できる「LPWA」を使い、ネットが使えない家庭も家電をネットに接続できる実証試験を大阪府などで始めた。

 本間専務執行役員は「(IoT家電の)十分な価値を提供していなかった」と反省する。従来のIoT家電はスマホで操作できる程度。今後はレンジやミキサーなど複数の調理家電が連動し、調理時間を考慮して効率的な調理手順を割り出すなど、より高度なサービスの実現を目指す。

 同社の宮部義幸専務執行役員は「量販店を通じた大量販売が始まり、顧客とのつながりが失われた」と振り返る。家電がネットに接続すれば利用状況をメーカーは把握でき、同社の系列店「街のでんきやさん」のように販売後も顧客と直接つながる。顧客への理解が深まり新しい価値提案ができる期待もある。
(文=平岡乾)

日刊工業新聞2018年11月20日

  

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