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ユニキャリア売却の波紋!「豊田自動織機はほとんど関心を示さなかった」

三菱重工買収へ。陰の勝者は産業革新機構?
ユニキャリア売却の波紋!「豊田自動織機はほとんど関心を示さなかった」

産業革新機構の能見公一前社長(左)と志賀俊之会長兼CEO(日産副会長)


ルネサスの出口戦略で自動車業界との調整役を期待?


 出口戦略でカギを握るのが、民間企業の主要株主である自動車業界の意向。当初民間8社が出資した約117億円のうちトヨタが50億円、日産自動車が30億円、デンソーとケーヒンが10億円とその比率が圧倒的に多い。自動車のエンジン制御で重要な技術であるマイコンを、ルネサスが大半を供給しているからだ。

 政府や自動車業界にとって、「日の丸半導体」会社として救済したからには、安易にルネサスが外資と組むことをよしとしないだろう。その点、志賀氏はトヨタの豊田章男社長とも良い関係を築いており、自動車業界や政府などとの調整役には適任とみられる。

 今回、志賀氏に白羽の矢を立てたのは誰か。「産革機構の人事は官房長官マター」(関係者)ともいわれており、菅義偉官房長官という可能性が高い。菅氏の選挙区は日産の本社がある神奈川県。さらに菅氏とともに安倍政権を支える甘利明経済再生相も神奈川が地元だ。

 産革機構はルネサス以外にも「日の丸液晶」会社のジャパンディスプレイの筆頭株主であり、経営危機にあるシャープと液晶事業の統合が依然燻っている。志賀氏が官邸と呼吸を合わせながら、どのような役割を演じていくのかが注目される。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
6月30日付で産革機構の会長兼CEOに就いた志賀氏は、ユニキャリアの母体である日産自動車の副会長でもあり立場は複雑だ。ただ、ディール自体は能見社長ら前の経営陣の段階で固まったもの。能見氏はユニキャリアに限らず、出口戦略では日本企業にこだわっていたと言われており、産革機構の他の幹部と路線対立も存在した。現政権の意向とも言われる志賀人事。志賀氏は政府の意向をより忖度するはずだ。今回の三菱重工が買収する枠組みは、重工側の意思のはず。重工は28日、米の原発故障に絡んだ賠償請求額が75億7000万ドル(約9300億円)になる見通しだと発表したが、悪材料打ち消す一つになるか。

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