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<矢島里佳の新聞clip7.30号>仕事探しの選択肢の1つ「ブーメラン社員」

仕事内容も理解している社員が戻ってくるのは即戦力になる
 1週間の日刊工業新聞の記事の中から3本、気になった記事をセレクト。新聞ならではのセレンディピティー(何かを発見する能力、偶然をきっかけにしたひらめき)の楽しさを伝えて頂きます。

 みなさん、こんにちは。矢島里佳です。
 ウェブニュースは1つずつ興味のあるニュースを読める閲覧性の高さは魅力的です。
けれども、偶然に出会う記事たちが、自分の興味や人生に強く影響をあたえる面白さは、紙新聞ならでは。デジタルの時代だからこそ、アナログの面白さにも気がつく。双方の魅力を和えながらニュースと向き合っていければと思います。

 今週、選んだのはこの3本です。
●伝統産業に若い力(堺市が刃物職人養成道場=7月23日付)
●シニア雇用改革(証券各社、能力引き出し戦力充実=7月24日付)
https://newswitch.jp/p/1464
●製造業にも広がる「ブーメラン社員」(人手不足問題で人材も流動的に=7月27日付)
 人望も厚く、能力の高いシニア社員と、若手社員が共に働ける環境は、仕事の技術継承の上でも、とても理想的なことであると感じます。シニア社員の介護の問題を解消する制度が必要不可欠ではありますが、労働人口不足の日本にとって、定年の壁に阻まれることなく、生き生きと働ける期間が延びることはとても重要だと思います。

 「ブーメラン社員」です。介護や子育て等でやむを得なく仕事を辞めた社員を、再び雇用する。人材不足が叫ばれる中、会社風土も、仕事内容も理解している社員が戻ってくるのは、即戦力にもなり大きな助けになると感じます。仕事探しの選択肢の1つに入るようになるかもしれませんね。

「良い人材であれば40歳を超えていても受け入れたい」(内海造船)


 企業業績の回復で、さまざまな業界で人手不足が深刻化してきた。採用難から、一度退職した人を再度受け入れる「ブーメラン社員」の雇用を積極化する企業も出てきた。比較的固定されてきた製造業の雇用形態が、人手不足問題を機に流動的になりつつある。
 
 印刷機製造のリョービMHIグラフィックテクノロジー(広島県府中市)営業本部サービス統括課の角田昇三係長は自己都合で退職後、再び同じ職場に戻ったブーメラン社員だ。大学卒業後、リョービで10年間勤務。印刷機の技術開発が楽しく感じ始めたそのころ、離れて暮らす母親の余命が短いと知る。社内の慰留も断り妻と実家に戻った。

 その後、実家近くの水門メーカーに再就職したが「なかなか達成感を得られず、いつも前の職場が気になっていた」(角田係長)。退職から4年後、インターネットで人材募集を知り、迷わず応募。仕事内容を熟知した即戦力として採用された。金子慶太リョービ人事課長は「社内にはもともと退職した人を受け入れる風土がある」と話す。

 搬送ロボットメーカーのJEL(広島県福山市)にも現在2人の再入社組がいる。「彼らは他社を経験したことで『JELの良さがわかった』と話す。『頑張る気持ちがあるなら、チャンスは与える』というのが社長の方針」(金田恒幸総務部部長)と説明する。

 内海造船でもブーメラン社員が活躍中だ。「本人の能力や資質、退職時の理由にもよるが、良い人材であれば40歳を超えていても受け入れたい」(田坂光宏執行役員総務部長)。地方でも即戦力を求める企業は増えると見られ、これまでにないより柔軟な雇用体制の整備が求めらそうだ。
 (文=丸山美和)


 
矢島里佳
矢島里佳 Yajima Rika 和える 代表
伝統産業に若い力ですが、全国各地で似たような動きがあります。職人になりたい人を集め、数年間毎月一定額を支給し、技術を学ぶ機会を提供し、職人を育成するという仕組みです。しかし、全国的に問題になっているのは、育成することはある程度できても、そのあとの仕事がなく、結局続けられないという現象です。今回の記事では、「注文はバブル状態」人手が足りない、とありますが、バブル状態というのは少し不安を感じる状態だと思いました。いま仕事がある中で、さらに次を担える人材が育つと良いですね。

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