メガソーラーの落とし穴!思わぬ異常・不具合が発生
太陽光発電市場の第二幕は運用・保守の受注競争へ
国内、海外勢入り乱れ発電性能争う。パネルは出力重視、狭小地の設置へ
太陽光パネルメーカーの競争環境も変わりつつある。固定価格買い取り制度開始前後、海外メーカーが次々に日本市場に参入し、激しいコスト競争が起きた。発電事業者もコストを重視していた。現在は発電に適した場所が減り、狭小地やビルの屋上など限られたスペースへの発電所の設置が増えている。買い取り価格の低下もあり、新規発電所ほど初期コストよりも買い取り期間中のトータルでの売電収入を重視する傾向にある。パネルは発電性能が重視されるようになってきた。
7月上旬、北海道厚真町で三井物産プラントシステムが建設したメガソーラーが稼働した。包丁の刃のような細長い台形をした狭い敷地に敷き詰められたパネルはパナソニック製の「HIT太陽電池」だ。HITは国内住宅用でシェア首位だが、高価なためメガソーラーから引き合いがあっても価格が合わず採用されてこなかった。それが13年度2件、14年度は6件とメガソーラーへの納入が増えた。
HITは太陽光を電気に変える変換効率で世界首位を争う。1枚当たりの発電量が多く、同じ設置面積でも一般的なパネルよりも30%発電量が多いという。厚真町の建設地は狭小地であったため発電性能が重視されてHITが採用された。海外メーカーも発電性能重視の市場を狙う。韓国LGエレクトロニクスはパネル1枚の出力としては世界最高級の320ワットの製品を16年に日本市場に投入する。ソン・ドイル次長は「設置面積に制約があるミドルソーラー(中小規模発電所)がターゲットの一つ」と話す。
太陽光パネル市場の第2ラウンドは、日本と海外メーカーが入り乱れた発電性能の競争となりそうだ。
日刊工業新聞2015年7月29日深層断面から抜粋