顧客増加や資金調達、SDGsを経営メリットにつなげるには?
11月29日、SDGs勉強会を開催
行政も支援開始
SDGsを中小企業の実益につなげようと行政も支援する。経済産業省関東経済産業局は5月、長野県とともに「地域SDGsコンソーシアム」を立ち上げた。地元経済団体、地銀、信用金庫、県立大学も主なメンバーとなり、中小企業が参入できる地域課題解決型の事業を創出する。
大企業ではSDGsの活用が進む。課題解決が市場獲得につながると理解しているからだ。しかし中小企業は鈍い。社会課題と利益を結びつけた事業を考える余裕がないからだ。そこでコンソーシアム(共同事業体)は利益と直結する課題を示しビジネスモデルを提案する。金融機関も金融支援を設計し、中小企業が参入しやすい環境を整える。中小企業が地域で新事業を始めると自治体にも税収や雇用で恩恵がある。地域課題解決は住民サービスであり、中小企業が主体となった地方創生へと発展する。
コンソーシアムは7月と9月にも会合を開き、参加者からは「SDGsに取り組む必要性をわかりやすく整理することが重要」といった指摘が出た。19年3月まで会合を重ねて報告書をまとめる。関東経産局は長野県をモデルに他地域への展開も目指す。
SDGs活用ガイド発行
中小企業にSDGsの必要性を理解してもらおうと環境省は「SDGs活用ガイド」を発行した。地域経済を支える中小企業の目線からわかりやすく構成したという。同省ホームページからダウンロードできる。
ガイドではSDGs活用で広がる「四つの可能性」をまとめている。「企業イメージの向上」「新たな事業機会の創出」は経営メリットであり、大川印刷の事例が該当する。「社会の課題への対応」「生存戦略になる」は取り組みが遅れることでのリスクだ。
大企業は今後、調達先にSDGsの推進を働きかけてくる可能性がある。実際に積水ハウスの石田建一常務執行役員は「SDGs調達を考えている」と公言する。中小企業はSDGsを推進すると継続的な取引が期待できる。逆に怠ると取引先から対応を迫られる。外資企業から取引停止も突きつけられる恐れもある。
資金調達もSDGsのわかりやすいメリットだ。SDGsを基準とした金融メニューをつくる地銀が増えている。滋賀銀行はSDGsに賛同して社会課題解決に取り組む企業への低金利融資を始め、水浄化システム開発のウイルステージ(滋賀県草津市)に融資した。埼玉りそな銀行、八十二銀行、北洋銀行も投融資で中小企業のSDGsへの取り組みを支援する。
中小企業はSDGsを意識した経営をしていると資金調達で有利になる。SDGsの活用に損はなく、得となることが多い。
11月29日、企業向けSDGs勉強会を開催
千葉商科大学と日刊工業新聞社は、SDGsを経営・事業に活用したい企業などを支援する「わが社のSDGs勉強会」を始めます。全3回を予定し、初回は11月29日、千葉商科大学で開催します。幅広い企業の方が「わが社らしく、経営・事業にプラスとなる」SDGsを学び、活動をスタートする場にします。
「わが社のSDGS勉強会-スモールスタートで始める、企業活動に役立つSDGs」
【日時等】:2018年11月29日(木)16:30~18:00(Q&Aは18:30まで)
※事前申込制・無料
【会 場】:千葉商科大学1号館1階 1101教室(千葉県市川市)
【主 催】:千葉商科大学、日刊工業新聞社
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日刊工業新聞 2018年11月5日