市場開拓の後押しなるか、共和電業がライバル企業と手を組んだ理由
HBMとの連携でさらなる成長を目指す
共和電業は4月から、欧州最大手のひずみゲージ計測器メーカー、独ホッティンガー・ボールドウィン・メステクニーク(HBM、ダルムシュタット市)と一部製品の相互販売を始めた。共和電業が日本でHBM製品を、HBMは共和電業の製品を欧州市場でそれぞれ販売する。計測機器の世界市場において、ライバル同士が手を組み、市場開拓と技術力の向上を図る。
ライバル同士が組むのは、業界の特殊事情がある。計測機器やセンサーなどの製品は、細分化されて多岐にわたり、両社が競合しない製品も多い。共和電業はひずみゲージやデータロガー以外の競合しない製品ラインアップを補完し、相乗効果の創出を見込めると判断。フランジ型トルクセンサーや圧電式ワッシャー型ロードセルなどを日本国内に売り込む。
両社の特徴が似ていない点も大きい。HBMはドイツを中心に欧州など80カ国・地域で変換器やセンサー、ひずみゲージなどの計測機器を製造、販売、サポートする。一方、共和電業は日本を中心にアジア地域で計測機器事業を展開し、販売エリアのすみ分けができている。創業年も近く、培った歴史も似ており、扱う製品も研究開発向けの高精度計測機器が多い。研究開発向けの計測機器は、製品を販売して終了ではなく、顧客に寄り添い課題や悩みを吸い上げて製品開発を進める必要がある。そのため、研究開発向けの計測機器は、顧客を技術的に直接サポートするのに、販売エリアが重要になってくる。HBMは日本法人を持つが、共和電業が技術面でサポートする。
新しい技術の獲得にも期待が膨らむ。共和電業にない技術を含め、顧客には両社の製品を組み合わせた新しい提案が可能となった。例えば、土木建築のインフラ分野で、共和電業のひずみゲージとHBMの光ファイバー技術を組み合わせた計測機器の提案を図る。共和電業の坂野浩義技術本部副本部長は「高度化するセンサー技術への対応では、1社だけでは開発リソースに限界がある。(連携で)製品開発をより効率的に進めていく」と話す。
ライバルから学ぶことは多い。共和電業は、HBMの持つ欧州の顧客網を開拓しているが、生きた情報が入ってくるという。例えば、顧客が求める欧州の規制基準のレベル感だ。基準をクリアしても、求める高さのさじ加減が企業ごとに違う。また、説明書一つとっても、日本語と英語だけでなく、売っていくためにはどの程度、現地語を有効に使っていく必要があるかがわかる。地域に適した最良の販売方法が把握できるようになった。共和電業の海外売上高比率は10―15%。これまで日系メーカーと歩調を合わせ、海外進出を試みたが思うような成長を遂げていない。技術ではない、足りない“何か”をHBMとの協力関係の中から見いだす構えだ。
(文=松崎裕)
ライバル同士が組むのは、業界の特殊事情がある。計測機器やセンサーなどの製品は、細分化されて多岐にわたり、両社が競合しない製品も多い。共和電業はひずみゲージやデータロガー以外の競合しない製品ラインアップを補完し、相乗効果の創出を見込めると判断。フランジ型トルクセンサーや圧電式ワッシャー型ロードセルなどを日本国内に売り込む。
両社の特徴が似ていない点も大きい。HBMはドイツを中心に欧州など80カ国・地域で変換器やセンサー、ひずみゲージなどの計測機器を製造、販売、サポートする。一方、共和電業は日本を中心にアジア地域で計測機器事業を展開し、販売エリアのすみ分けができている。創業年も近く、培った歴史も似ており、扱う製品も研究開発向けの高精度計測機器が多い。研究開発向けの計測機器は、製品を販売して終了ではなく、顧客に寄り添い課題や悩みを吸い上げて製品開発を進める必要がある。そのため、研究開発向けの計測機器は、顧客を技術的に直接サポートするのに、販売エリアが重要になってくる。HBMは日本法人を持つが、共和電業が技術面でサポートする。
新しい技術の獲得にも期待が膨らむ。共和電業にない技術を含め、顧客には両社の製品を組み合わせた新しい提案が可能となった。例えば、土木建築のインフラ分野で、共和電業のひずみゲージとHBMの光ファイバー技術を組み合わせた計測機器の提案を図る。共和電業の坂野浩義技術本部副本部長は「高度化するセンサー技術への対応では、1社だけでは開発リソースに限界がある。(連携で)製品開発をより効率的に進めていく」と話す。
ライバルから学ぶことは多い。共和電業は、HBMの持つ欧州の顧客網を開拓しているが、生きた情報が入ってくるという。例えば、顧客が求める欧州の規制基準のレベル感だ。基準をクリアしても、求める高さのさじ加減が企業ごとに違う。また、説明書一つとっても、日本語と英語だけでなく、売っていくためにはどの程度、現地語を有効に使っていく必要があるかがわかる。地域に適した最良の販売方法が把握できるようになった。共和電業の海外売上高比率は10―15%。これまで日系メーカーと歩調を合わせ、海外進出を試みたが思うような成長を遂げていない。技術ではない、足りない“何か”をHBMとの協力関係の中から見いだす構えだ。
(文=松崎裕)
日刊工業新聞2018年10月3日