「JRポケット時刻表」の印刷業者はなぜ倒産した?

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 ウイズプリンティングは、1964年5月設立の印刷業者。カタログなど各種印刷物や化粧品会社の販促品や保険約款などの印刷も手がけていたほか、「JRポケット時刻表」なども取り扱っていた。大阪府下でいち早く輪転機を導入した企業の1社として知られ、A版輪転印刷機を含めた4台の輪転機を保有するなど充実した設備が強みだった。カタログ通信販売業者からの受注が好調だった97年7月期には年売上高約35億700万円を計上した。

 しかし、2000年代に入ると、パソコンやスマートフォンなどの普及で、紙媒体の印刷需要は低迷。さらに複数の大口受注先が東京に移転するなどの影響から売り上げは漸減。特にカタログ通販業者向けの印刷は、大型輪転機を導入することでコストダウンに対応し、徹底した品質管理で安定した受注を確保したが、ここ数年は大幅に受注が低下していた。印刷設備の投資を、金融機関からの借り入れやリースで賄っていたことで有利子負債は膨れ上がり、倒産時には年商を大きく上回る約18億4300万円を抱えていた。

 この多額の金融債務の支払いのため、赤字受注も受けざるを得ない状況に陥り、収益面は悪化。16年7月には一部工場を閉鎖、同年10月には金融機関に対して返済のリスケを要請した。メーンバンクからの運転資金の借り入れを継続することを条件に、4月以降の元本返済猶予の同意にこぎつけたが、17年7月期は約6300万円の欠損計上を余儀なくされた。

 閉鎖した工場を約2億円で売却し、その売却金の一部を金融機関へ返済、残りを運転資金に充当するなどリストラを実施したが、この頃の月商は前年同月比の2分の1程度まで低下。実質的な債務超過に陥ったことで当初の事業改善計画の達成が困難となり、7月18日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請した。
(文=帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2018年9月4日

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明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

日刊工業新聞もかなり前に印刷は外部委託に切り替えている。「紙媒体」は、マスでなかなか価値を発揮できなくなっていくだろう。一方で特定顧客や特定のユースシーンではニーズがかなりあると最近感じている。

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