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銀行、ハウステンボス…異色経歴のJR貨物社長の鉄道魂

JR貨物社長・真貝康一氏インタビュー
銀行、ハウステンボス…異色経歴のJR貨物社長の鉄道魂

同社ホームページより

 JR貨物の真貝康一社長は、銀行での勤務は約30年。出向先のハウステンボスで常務も務めた異色の経歴から、JR貨物社長へ就任した。経験や人脈を糧に、貨物鉄道の将来を創造する。

 「事業への信頼基盤である安全が最優先。(業務のやり方や判断基準を見直してきた)事業改革を継続し、加速させる。技術革新を取り込み、サービスレベルを上げ、物流や企業のサプライチェーンでの役割を高めたい」

 長年、同社は鉄道事業の採算性が懸案だったが2年連続で黒字。連結経常利益も100億円を確保しており、上場が視野に入ってきた。

 「鉄道輸送を基軸として物流分野での収益拡大を進めていく。貨物鉄道は140年以上の歴史で積み上げられた、かけがえのない資産だ。近く着工する物流施設『東京レールゲート』で、鉄道貨物との連携を生み出し、総合物流企業を目指す」

 一方、7月の西日本豪雨の影響で全社輸送力の約3割を運行できない状況が続く。JR西日本と連携して、迂回(うかい)輸送の準備を進めている。

 「土砂流入などの被害が、広範囲に複数箇所で起きてしまい、想定外の事態だ。在来線はモーダルシフトを進める物流で大きな役割を担うインフラ。強靱(きょうじん)化は喫緊の課題であり、今後、関係機関にも働きかけていく」

 東北支社長時代に遭遇した東日本大震災の迂回輸送で思い出深く、現場で復旧に全力を尽くすJR社員の姿に“鉄道魂”を感じたという。

JR貨物社長・真貝康一氏


【略歴】しんがい・こういち 78年(昭53)東大法卒、同年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。07年JR貨物入社、14年取締役。62歳。秋田県出身。6月21日就任。
日刊工業新聞2018年8月21日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
音楽が趣味でバイオリン演奏からオペラ鑑賞、カラオケまで幅広い。十八番は「磐越西線」だという。 (日刊工業新聞社・小林広幸)

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